得体の知れないものへの恐怖

多くの現代人が忘れてしまった八百万の神々に対する畏怖。
神様を畏れるということは、自然を恐れることと同義です。
平坂町で行われていた神送りの神事も、もっと昔は各地で行われていたのでしょう。
このお話にあるようなことも、以前はもっと頻繁にあったのかもしれません。

目に見えないものの恐怖を文字で表現するのはとても難しいものですが、この作品はその得体の知れないものの恐怖がとても上手く表現されています。
民俗学や神道がテーマとしてありますが、読みやすく綺麗な文体で書かれているのでサクサク読み進められると思います。
最後まで読むと余韻で抜け殻のようになれる、そんな作品に久しぶりに出会えました。
ぜひ書籍化してもっとたくさんの人に読んでほしいです。

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