第5話 睾丸

 ガチャを回してSSR装備をゲットした次の日、早速ダンジョンに潜ることにした。

 目標は5層に出るオークが結構いいドロップをするというのを耳にしたので、今回はそこを一直線に目指してオーク狩りを行いたいと思う。オークといえば女性を襲うモンスターとして有名だ、なにか濡れ場みたいなこと見れないかなぁ。


 というか現金がなくてまじでつらい。一応SSR装備以外のガチャで出たアイテムは売ったけど1万円にも満たなかったし、現ナマもタラーも全然足りない状態なのだ。

 今日は狩り慣れた一層を早々に抜けて2層に入る。すると目の前でモンスターの渋滞を起こしていて通れない。イライラした俺は恐らく戦闘しているであろう女性に倒していいか確認を取ってからモンスターを倒す。うひょ、2層なのにRドロップとか今日ついてる気がするわ。


 そのまま2層を駆け抜けて、5層まで降り立つ、4層までは迷路のような構造だったが5層になると見晴らしのいい草原が広がっていた。

 ところどころに森があり、草食動物や肉食動物が存在しているかのような環境だ。


 早速オークを倒そうと思っていると、空から鳥が降りてきた。

 降りてきたというより俺を狩りに来た?が正しいか?狙われているなと思ったのでSSR雷の剣で電撃を食らわせて落としてやった。ドロップ品はRグリフォンの肉だった。5層にもなるとRとかが普通なのかな、いっぱい狩ってみないと分からないのでとりあえず目についたモンスターを片っ端から倒していった。


 ドロップ品はRが6割SRが4割SSRが1個だった。SSRコボルトの牙だ。肝心のオークが見つからなかったのは残念だったがかなりいい収穫だった。


 SSRが出たときは思わず叫んでしまった!!だってSSRドロップだよ!!いくらガチャしても出るか分からないアイテムだよ!!!これだからダンジョン探索はやめられねぇぜ。モンスターよ、俺の養分となって消えてくれ。

 そして肝心の魔石も結構集まった。

 魔石(小)80個、魔石(中)10個だ。5層にこれば一日で10連ガチャを回せることに感激した。全部SSR装備のおかげだけど、神には感謝しきれない。

 

 今日は戻ろうと思い5層の入口付近に行くと何やらワープゲートと書かれた石碑があった。来るときは夢中で気づかなかったがこれで1層に帰れるのだろう、多分。

 そう思って石碑に触れてしばらくするとあたりが光りだし、まぶしさに目を閉じるとエレベーターに乗っていた時のような浮遊感を覚えた。

 それが収まり目を開けると目の前にはオークがいた。


 あれ!?1層に戻るんじゃなくてダンジョンの中でワープするのか、こりゃ参ったな!アハハと笑っていたが、どうやらオークの拠点だったらしくめっちゃいっぱいのオークがいる。

 これはさすがにまずいなと思い、とりあえず目の前で襲い掛かってくるオークを切り倒す。

 さすがSSR剣、一発でオークを仕留めた。

 しかし数の暴力はすごく、しかも何やら弓、魔法、投石と遠距離からガンガン攻撃してくる。SSR鎧のおかげで無事だけど、衝撃がすごいんでなかなか動けない。


 膠着状態を打破するため、俺は自分の防御力を信じて活路を開くことにした。

 敵の後衛がいるところを確認し、周りに殴られながら、魔法や弓をガンガン受けながら、頭を盾と剣で守りながら後衛オークの集団に突っ込む。俺は集まっていた後衛たちをまとめて倒すためにその中に入り込み剣を上にかかげ、自分を中心に雷を落とすように雷撃を放つ。

 自身が避雷針のようになり、当たり一面に電撃が広がる。雷の装備のセット効果か、自分への雷は無効になり、一切のダメージを負うこともなく周りのオーク達を焼けこげさせた。


 遠距離攻撃手段を失ったオーク達は勇敢にも向かってきたが、もう俺を阻むものはない、SSR雷の剣でばったばったと切り倒した。

 70体近くいたオークを全滅させた。

 ドロップ品もなかなかのものだ。

 Rオークの肉 SRオークの牙 SSRオークの睾丸などが手に入った。オークの睾丸って、SSRなのはうれしいけど少し金玉がひゅっとした。その他はN、R、SRの装備品がいくつか出てきた。充分な成果だろう。問題はここがどこかなのかだ。洞窟なような場所から出口を探した。


 外への明かりを見つけると出口だと思い向かった。出ると野営している人たちがいた。パーティーのリーダーらしき人が話しかけてくる。


「あれ、ここオークの拠点なんだけど、何で中から人が出てくるの!?」

「すいません、なんかワープゲートってのを触ったら転移しちゃって、もしかして横取りしちゃいました?」

「うーん……倒しちゃったものはしょうがないよ、ドロップ品を渡せとは言えないし」

「なんかすいません、あのここどこか分かりますか?帰りたかったんですけど転移しちゃって」

「あぁ、あれ不親切だよね、ワープゲートは表面を触るとその階層のどこかに転移しちゃうから、裏にある1層へと書かれた部分を触るといいよ。ちなみにここは5層出口の近くだから、少し行くと6層があるよ、そっちの方角かな」

「ありがとうございます。それじゃあ俺はこれで」


 どうやら人様の獲物だったらしい、申し訳ないが帰らさせてもらおう。そそくさとその場を去り5層の出口から6層へと向かい、ワープゲートの1層とかかれた部分を触って1層へと帰還した。


 1層に転移すると目の前は休憩所だった。どうやらここに戻ってこれるらしい、便利だ。俺はいつも通り素材の買取を行った。


「しめて600万円になりますね」


 ん?聞き間違いかな?もう一度確認する。


「600万円になります、内訳はこちらになります確認してください」


 そう言って渡された内訳用紙を見る。SSRオークの睾丸が500万円で買取されている。


「オークの睾丸は精力増強剤として需要がありまして、SSRともなるとその効果は絶大。三日三晩いたしてもまだ収まらないちょっと危険な効用らしいですよ」


 特に表情を変えず青髪の受付嬢が説明してくれる。そっか睾丸って金になるんだな。


 「こちらタラーでの支払いにしますか、今新しい遊具が出てそれもおすすめなんですよ」


 どうやら1層の休憩所に様々な遊具が存在しているらしい。今まではダンジョンとガチャしか目がいなかなかったが、現実にあるパチンコやスロットが現実ではあり得ないレートで存在している。

 他にもカジノも併設しており、いくらでもギャンブルが可能になっているようだ。


 最高かよここ、ダンジョン潜って帰ってきたらギャンブルも出来てお金も稼げる。俺の天職はこれだったんだ。そう確信して100万円を現金に変え残りをタラーに変換した、一割増しなので550万タラーだ。


 俺はそのまま、1球100タラーのパチンコを回した。

 300万タラーすった。

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