第15話 LR幸運のネックレス
「ハハハハハ、どうやらお目当てのアイテムではなかったようですねえ」
霧化して新しいスーツに身を包んだキマリスが嘲笑う、俺が固まっていることに勘違いしたようだ。そうじゃねぇ、そうじゃねぇんだよ!!!LRだぞ!!!お前はレアかどうか分からないのかあ!!!アヒャヒャヒャッヒャ
「モンスターには分からないのか、この神々しい輝きが」
俺は宝箱からLR幸運のネックレスを取り出し装備する。
「それが何か?聖なるものですか?残念ですが私には効きませんよ、冥土の土産に教えて差し上げますが、私に弱点なんてないんですよ。倒すならそれUR装備に身を包みなおかつ研鑽を積んだものでなければ無理ですよ」
嘘だな。ならなんで俺が宝箱に向かうのを阻止しようとしてきたんだよ。俺はキマリスを見つめる。すると何やら相手の体の中を光る固まりを感じ取ることが出来た。
そういえばどうして胴体への攻撃はあの程度だったのに、足への攻撃は結構なダメージになったのだろうか。
よく見ると攻撃した足の箇所にその光が集まっている。損傷した箇所を回復でもしているのだろう。
あれがあいつの核みたいなものか……?霧化した時、あいつの存在がどうなったのか分からなかったが、あの光が中心に構成されているんじゃないか?
LR幸運のネックレスをつけたことで変化した事象を好意的に解釈する。URじゃなくてLRなのだ。この事態を好転させてくれることが起こるに決まっている。
「貴方の幸運もこれまでです。さぁ終わりにして差し上げましょう」
始まったんだよ!!たった今から俺の幸運は!残念だったな。
相手は背中の翼をしまい、爪による攻撃に切り替えてきた。相手の弱点がわかっても攻撃できなければ意味がない。俺は相手の光の塊に向かって雷撃を放つ。今までは直撃してても無視していた攻撃を爪で弾くように食らう。避けるには早すぎる雷撃から弱点を守ったのだろうか。キマリスはいつも通りの口調で話しかけてくる。
「無駄だと言っているのに、それにまた魔法を打って、体の方は大丈夫なのですか?」
相手の顔に焦りはないが俺は確信している。やはりあいつの弱点はあれだ、さすがLRだぜ!でも魔法を放ちすぎるとまた精神力が足りなくなるかもしれない。ここぞという場面で使おう。
俺はあまりに露骨に狙うと弱点がばれていることに気づかれると思い、悔しそうな顔をしながら剣を構える。相手の攻撃を盾で防ぎ、反撃の機会を窺う。光の塊が体中をウロウロとしている、すると上半身を漂っていた塊が下半身に移動するのが見えた。
「おらぁ!」
横薙ぎに一閃、太ももあたりの同じ個所を斬りつける。回復を促進させようとしていたのか。下半身にあった塊は攻撃を食らった後逃げるように心臓付近へと逃げていく。
「くっ、さすがに治りきっていないと痛いですね」
そう言うと後ろに飛びのき、霧化を開始する。
俺はここだと思い、光の塊をあまり目で追わないように気を付ける。そして全身が霧化して姿を保てなくなったところで、光の塊に向かって雷撃を放つ。防ぐ手段を持たないキマリスはこの攻撃をそのまま受ける。
「ぐぁあああああああああああああ」
キマリスの悲鳴が響き渡る。霧化が強制的に解除され、ボロボロになったキマリスが姿を現す。
「まさか、見えてるのか…?」
「これがLR幸運のネックレスの力じゃぁああ」
「LR……だと……」
俺が望外のアイテムを手に入れたことにようやく気づいたようだ。
「待て、分かった、俺はここを去る。お前もこのまま戦えばただでは済まないだろう?」
「何を言ってるんだ?お前にもう選べる選択肢はないんだよ、おとなしく俺のドロップアイテムとして運命を終えるんだな」
まだ何か命乞いをしている相手に向かい再度雷撃を放つ。ああいって何か油断させて反撃してくるかもしれない。安全に相手の射程距離外から雷魔法を放つ、それを相手は爪で弾くように防ぐが、その姿は弱弱しくダメージも蓄積されているようだ。
「ほらどうした、翼をはやして逃げてもいいんだぞ」
まぁ無理だろうけどな、雷を落とせば全身に電撃が走り渡る。確実に弱点に当たってしまうからだ。こちらもそう何発も魔法は連発したくないが、この調子なら倒せるだろう。
キマリスが叫びながらこちらに向かってくる。
「くそぉおおお死ねぇええええ」
爪で雷撃を弾きながら接近してくる相手を、俺は冷静に見つめる。それでも弱点は体中を忙しなく移ろっている。爪での攻撃にまたかと思い、盾で防御しようとするとグイっと首をこちらに向けて噛みつこうとしてきた。
吸血鬼なら吸血か?体力でも回復するのだろうか。そんなことを考えていると防いだ盾を持つ左手に噛みつかれる。ドクドクと血をすわれているのを感じるが、そんなことよりここまで接近出来ればもう詰みだ。
ズンとSSR雷の剣を突き刺す。もちろん弱点の塊にだ。ボロボロになったスーツに最早防御力はなく、俺の攻撃は剣先からスーッと入っていった。
「グハッ…馬鹿な、この私が」
最後の言葉を残し、キマリスが消えていく。敵からアイテムがドロップした。
UR男爵吸血鬼の指輪
2回目のURきたぁあああああああああああああ
ガチャじゃないよ!!ドロップだよ、これだけ強かったのにSSRとかだったらどうしようかと思ってたよ。
何の効果があるのだろうか、俺は一旦冷静になり周囲を確認する。問題ないのを確認して指輪をとりあえず着けてみる。すると牙が生えた。ついでに爪も伸ばせる。これは…と思い試してみると霧化や背中から翼をはやすこともできた。ただ翼は鎧を着ていると外に出せないので背中の空いた装備か、破れてもいい装備しか使えそうになさそうだ。どうやら吸血鬼の能力を行使できるようになったようだ。
恐らく弱点も同様だと感じるので、ここぞの場面で使うことにしよう。
俺はとりあえずこのイエティの洞窟を抜けるため、UR男爵吸血鬼の指輪を装着して、扉を開ける。するとイエティが目の前にいたが、霧化して逃げると俺に対する攻撃手段を持たないのか、ぶんぶんとハエを払うかのように腕を振るった。
ここであることに気づく。吸血したらどうなるだろうか、体は結構ボロボロだし回復するかもしれない、そう思い霧化を解除し、俺はイエティと対面し吸血をする。
雷撃で動きを封じてから首筋に牙を立てる。ビクンビクンと震えたイエティが消え、俺の体は回復した。
ふむ、予想通りでなんか拍子抜けだな。これも幸運のネックレスの効果か、すべてうまくいく気がする。
しかしUR幸運のネックレスが壊れたことを思い出し、急いでネックレスを外す。どれだけ持つかは分からないが、幸運はすり減るものだというのはもうわかっているので、こちらも必要そうな場面のみに限定して使う様にしよう。
吸血鬼の指輪もいつか壊れてしまうだろうが、これはいざという時使えないと意味がないのでイエティの洞窟を抜けるまでは装備して出口へと向かった。
何体かのイエティと遭遇したが、霧化で相手を翻弄し倒して進んだ。出口へと到着するとRアイスゴーレムの装備セットに切り替え、雪原を歩く。霧化で進もうと思ったが、霧化してから一定の距離までしか移動できず、いちいち霧化しなおすのも面倒だったからだ。あと単純に霧化しているところを見られたくないしな。
その後はいつも通り、1層に転移して換金をしてガチャを回してカジノへとよった。
珍しく100万タラー勝った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます