二○二三年 五月

老母の首に咲けりスカーフの薔薇


いと白き筒姫たちの二の腕や


矢車草揺れて山並藍染むる


古傘も萎れたり卯の花腐し


夏の雨我を閉ざして押し流せ


雷声や耳塞ぐ我の叫びぞ


夏日向疫禍の影は眼裏に


虞美人草疫神の暇乞い


白シャツや坂を上りて雲となる


りんりんと歌う帰途の風鈴草


疫禍に生まれし子が聞くお囃子や


八重波のスマホの波間渡御すすむ

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