二◯二三年 十一月

いちさんご数の練習実南天


耳辺の寒冷前線万霊節


色鳥やふるさとの山彦つれて


まだ見ぬ奥歯ドーナツ食む小春日


枯桑や荒畑に独つぽっち


まろやかな老母の猫背吾亦紅


金風や児の頬の産毛に灯り


吾子がため柿の皮剥く祖母のよに


カシオペアきらきら歌う児の星よ


滑り台じょうずにできた秋日向


荷箱よりこぼる林檎の親心


松毬まつかさや紅差して花屋に並び


ゆく秋や家に着くまで異邦人


朝凍あさじみや深呼吸して今日も生く

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