二◯二三年 九月

旻天を仰ぐひと待つ椅子ひとつ


秋霖に濡れし袖引き夏去りぬ


夏喰みてやわやわと無花果熟れし


重陽に児がまくしゅと真似をせり


とんぼのめがねととと揃いと笑い


秋の日と落下競べよ滑り台


あかね雲押し絵しようか秋の暮


吾子が指しはんぶんたべたと秋の月


雷声を収む二歳ふたつの夏連れて


爽籟や朝のタラップ踏み鳴らし


思い出の手前に吹く色なき風

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