二◯二三年 八月

解夏の空誰が見たあの日の青さ


鱗雲みんななかよく泳いでる


八月の鐘は七十八かぞえ

 

野葡萄や母の化粧箱の底


一筆であおぞら描く銀やんま


児の目蓋溶けし家路の残暑かな


桔梗きちこうや吾の痛みの上に咲け


蜩の声を数えて影送り


深爪染みる紅涙や鳳仙花


幼子の裳裾に見ゆる木芙蓉


梨食みて西瓜と笑う二歳の子


夜のふち我のみぞ知る花火果つ


休暇明疫神も駆け込み乗車

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