二◯二四年 二月

春隣きみといっしょにいたかった


朝がくる哀しさの薄ら氷張りて


雪踏や母の轍を児は辿り


雷雪も吾子の寝息に遠慮しい


梅が香や友は郷里で未だ聞かず


水の上吾子の眼に冬銀河


寸足らぬ去年こぞの袖口春きたる


川霧に高架上の陽冴え返り


寒明けの冷蔵庫すむ雪うさぎ


佐保姫の後れ毛やにこしく光り


春駒や勇めよメリーゴーランド


春浅き大通りゆく膝小僧


世界は薄明るき早春の夕


お世話さまですと飛び交うチョコレイト


バレンタイン満員電車ショコラの香


春の星月といっしょにおさんぽよ


お転婆なポニーテール春一番


春薄暮さみしいは夕風のよう


春の水も空気も柔々しくて


木の芽風時短勤務モラトリアム


猫の日よみがえりしあの仔の温み


春寒の土曜ままごとスマホ越し


一センチ伸びた足迹春の土


吾子の指河津桜の色匂い


風の子は上昇志向カイト翔ぶ

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