二○二三年 二月

年経て似たり母の指のあかがり


テレビ通話に慣れにし疫禍の冬


清風が磨いた如月の空よ


春北風はるきたに辛夷のつぼみ着膨れて


一針が至難の業ぞ花粉症


ああ無情タイムラインは雪濁り


鬱金香も縮こまる早春賦


つまを君と呼べる二月十四日


真珠色の乳歯喰めり春苺


髪留めにはにかむ一歳ひとつの佐保姫や


夕暗ゆうやみよ冬の名残を抱き留めて


靴下の厚さで測る余寒かな


薄目にてリモート会議春日向


春蜜柑絵本なぞりて摘み食い


彼女の指先でむ薄紅梅


春泥を蹴って伸びたり吾子の足

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