ことばのちから、想いのちから。


物語は、歌とことばに特別なちからが宿る世界で進みます。
主人公は期せずよばれ、さる高貴なおうちに嫁入ることに。
彼女自身にも宿っていた高い能力で、いくつもの困難な課題を越えて……。

という、おはなしなのです。
おはなしなのですが。

なんだろう、わたしは、見方がおかしいのかもしれないけれど。
このおはなし自体が、作者さまの、祝詞のように思えたのです。

ばんと広がる空。
地を奔り、樹々を抜け、みずに潜り、星を掴む。
夜のなかで、朝の果てに、とおくとおくかけてゆく。

おどるいのちたちが、音ひとつしない、閑かな薄暗闇に集約され。
やがて、り、とひとつ聞こえる虫のこえに、ひかりを取り戻す。

たくさんの素晴らしい歌たちと、素晴らしい情景をもって。
作者さまは、わたしたちを、世界を護る呪を説いたように思うのです。

少なくともわたしは、護られた。

みなさまも、どうか。
たくさんのひかり、ことほぎを、ともに受けましょう。

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