淡墨色の、想い出。
- ★★★ Excellent!!!
抗ういまの世界、懐かしさに揺蕩ううちに離れがたくなる異界。
その両方を行き来しながら、主人公であるあずさはもがき続けます。
そうして最後に、願ったとおりにはならなかったかもだけど、新しい世界が広がって、そこには確かにあのひとの思い出があって。遠くにおいた大事なものを想う感情、名前なんてなくてもそれは自分のこころを形作るものになっていて……。
必要なときにきっと、取り出して大事に眺めるのでしょう。淡墨の向こうに指を伸ばして。
ちょっと哀しくてちょっとあったかい、素敵なおはなしでした。
ありがとうございました。