ぱたぱたと雨が窓を打っているのだろう。
ベッドに横たわる二人を、わたしは、あなたは、その窓の向こうから、あるいはこちらから、じぃっと眺めることになる。
作者さまの言葉は、わたしは大好きで、物語を超えていつもたくさんのものを運んできてくれる。浸っているだけでいい。寝転がりながら浸っていると、そのうち瞼が下がってきて、わたしの横で囁いてくれているような思いにもなって、だからすぐそばにあるはずの顔に振り向いて、その途端に、手に持っていたタブレットがずり落ちて、場合によってはベッドから転げて床に衝突するから、そこで目が醒めることになる。
高尚のこころなんて、わからない。
手のひらを沿わせて、頬をあてて、その暖かさに、その永遠に、義務と学びを見出すなんていうことを、わたしはできない。
雨が窓を打っているのだろう。
肉の温度と、雨の色。
それだけで、じゅうぶん。
大学生、19歳、同い年の男女の物語。
ひょんなことから、二人は出会い、急接近します。
と、ここまで書いたら、普通っぽいですが、この物語は、ただの普通の恋愛ではありません。
男女ともに、心理描写が、緻密で、圧巻です。
二人とも饒舌に、読者に思っている事を語ってくれます。
読者はその濃密さに、息苦しくなるほど。
深いんです。
そして、「ああ。男女ってなあ……。恋愛ってなあ……。」
と、物語読了後、私は言葉を失ってしまいました。
うまく、おすすめレビューが書けていないかもしれません。
どうやって、この物語を言い表したら良いか悩み、800字ほどつらつらレビューを書いてから、いったん全部消し、再度、このレビューを書き直しています。
ぜひ、読んでください。
おすすめいたします。