肉と、雨。


ぱたぱたと雨が窓を打っているのだろう。
ベッドに横たわる二人を、わたしは、あなたは、その窓の向こうから、あるいはこちらから、じぃっと眺めることになる。

作者さまの言葉は、わたしは大好きで、物語を超えていつもたくさんのものを運んできてくれる。浸っているだけでいい。寝転がりながら浸っていると、そのうち瞼が下がってきて、わたしの横で囁いてくれているような思いにもなって、だからすぐそばにあるはずの顔に振り向いて、その途端に、手に持っていたタブレットがずり落ちて、場合によってはベッドから転げて床に衝突するから、そこで目が醒めることになる。

高尚のこころなんて、わからない。
手のひらを沿わせて、頬をあてて、その暖かさに、その永遠に、義務と学びを見出すなんていうことを、わたしはできない。

雨が窓を打っているのだろう。
肉の温度と、雨の色。

それだけで、じゅうぶん。


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