平安時代を思わせる日本風の異世界を舞台とした、純愛ファンタジーです!
また、いろいろな形でしたためられた言葉に、魔力が宿るという世界観も圧巻。
言葉の力で邪を祓い、平安をもたらすこともあれば、呪いや病をもたらすこともあります。
そんな中、主人公の宮子は、皇太子の清白王を救うため、課題に立ち向かっていきます。
特筆すべきは、和歌による魔力の発現。
いや、魔力というよりも、祝詞であり、清めの力としての言葉の昇華というべきかもしれません。
作者様のいずれの和歌も、まるで神道の祝詞や万葉集の和歌を読むような、高雅で端正な、ときに情熱的な作品となっています。
それは、作者様のたしかな知識と感性があってこそのものだと思います。
僕も古語ややまと言葉は好きですが、到底このような言葉の使い方はできず、古き良き日本語の大切さを思わされるとともに、長い歴史の中で積み重ねられた『やまと言葉の魔力や言霊』を感じずにはいられませんでした。
それでいて、地の文や会話文は親しみやすく、読みやすい文体です。
風通しのよいピュアな筆致と、和歌のコントラストが、独特の世界観を作り上げているといえるでしょう。
作品の型としては、女性向けの純愛ファンタジーでありつつ、本格的な和歌ややまと言葉を取り入れた、斬新かつまさに『雅』な作品です。
本来のターゲットと思われる女性読書のほかにも、日本語を研究されている方や、日本語自体に興味がある方にもおすすめしたい名作です!
という長文になって失礼しました、、
見所盛り沢山です!
まず! サブタイトルにもあるように、主人公にとっても、恋のお相手にとっても、年下だけど年上なんです。なんせ、30歳の主人公が若返って、転移しちゃったんですから!
ここがねー、ポイントです。年下だけど年上だからこその思いや葛藤が、よくわかります。30歳……、よくわかります(苦笑)
次! 恋のお相手! まぁー、可愛いしイケメンだし、イケボ! イケボは、国宝です。無駄遣いしてはいけません。でも、囁いてきます。蕩けます。
最後! 和歌! 作者様オリジナル和歌! 和歌が詳しくない私でも、きれいだなーと感じました。言葉の一つ一つが美しく流れていくようです。和歌という清流に流され、心が浄化されます。
故に! 皆さん! ぜひ! お読みください!
物語は、歌とことばに特別なちからが宿る世界で進みます。
主人公は期せずよばれ、さる高貴なおうちに嫁入ることに。
彼女自身にも宿っていた高い能力で、いくつもの困難な課題を越えて……。
という、おはなしなのです。
おはなしなのですが。
なんだろう、わたしは、見方がおかしいのかもしれないけれど。
このおはなし自体が、作者さまの、祝詞のように思えたのです。
ばんと広がる空。
地を奔り、樹々を抜け、みずに潜り、星を掴む。
夜のなかで、朝の果てに、とおくとおくかけてゆく。
おどるいのちたちが、音ひとつしない、閑かな薄暗闇に集約され。
やがて、り、とひとつ聞こえる虫のこえに、ひかりを取り戻す。
たくさんの素晴らしい歌たちと、素晴らしい情景をもって。
作者さまは、わたしたちを、世界を護る呪を説いたように思うのです。
少なくともわたしは、護られた。
みなさまも、どうか。
たくさんのひかり、ことほぎを、ともに受けましょう。
「天翔ける美しの国」のタイトルの通り、平安時代のような、奈良時代のような、和〜な雰囲気の、美しい物語です。
随所にさしこまれる、和歌(自作!)が素晴らしい!
主人公の髪の毛は、黒───いいえ、黒でも、艶のありしっとり濡れたような、烏の濡れ羽色なのです♡
とはいえ、和を愛でて終わり、の物語ではありません。
30歳の主人公「宮子」は異世界へ召喚される際に、16歳の若い女性の姿となり、30歳の大人の余裕のまま、次々襲いかかる難敵と対峙します。
ヒーローは、とにかくイケメンで、甘いイケボで主人公にささやき、主人公に優しく、とにかく甘やかしてくれます。
あま〜〜〜い!
主人公をとりまく脇役たちも良し!
物語は、ちょっとミステリー仕立てになっていて、「誰が犯人だろう?」と、ぐいぐい先を読ませてくれます。
和で素敵。でも、ワクワク楽しめる要素もバッチリ。
そんなワガママな物語なんですよ!
ぜひ、ご一読を!
※あ、この作者さまの「五色の土地守り」とは、似ているけれど、全く違う世界だそうですよ。
ある日、異世界……技術の発達しなかったもう一つの日本へと十六歳の女の子に転移した主人公。
これまで培ってきた技量を活かしての転生セカンドライフは、正に和の世界。
言葉や文字に力があり、その特別な力は皇族と貴族にのみが有するもの。
言葉は癒す事も払祓う事もできるという、特異な者であるため、権威の象徴とされてきた。
権威の失墜や、それぞれのキャラクターの思惑がストーリーの中でもしっかりと語られています。
言葉とは、祝にもなるが呪にもなる。
唱える者の心根を掬い取ったかのような言葉の連なりが美しく、キャラクターの一人一人の想いが詰まっていると言っても良いでしょう。仄かな灯に照らされたものもあれば、ガラスのような繊細な叫びもあり、毒を孕んものもありました。
自然満ち溢れ、情景と世界観の全てが鮮やかに彩られている。
筆者様があらすじにておススメしている第四章の和歌も見応えがあり、言葉に彩られた世界を是非堪能して頂きたい。
僕は困った。
この物語を果たして読んだのだろうか、いや違う、そんな感覚ではない。
あらゆる物語が創作されるカクヨムの世界で、奇跡的な確率でこういう物語に出逢ってしまう、その感覚をお伝えする事がすごく難しい。
僕に言える事は、ここに書かれている物語、その言葉は、創作を越えて、美しさや感動すらも越えて、生命とも違う、とんでもない力場を形成している。
僕は読んでいて自分が恥ずかしくなった。いや、そう思う事すらもおこがましい。
筆者様が、振り絞って、振り絞って、さらにその先に踏み込んだ物語。
この物語にどれほどの熱量を注ぎ込み、真摯に、そして一心に、時に楽しみ、時に苦しみ、そんな様々な想いを結晶化させちりばめ、さらにその先の領域に達した事を、絶対に祝福せねばなりません。
この感覚をどう伝えればいいのか。
そんな事は不可能だと僕は知っている。
ねぇ、皆さん、時間が許すのならこの物語を体験するべきです。読むのではなく体験。この言葉の意味が伝わる事を祈りつつ、僕はこのレビューを締めくくらせて貰います。奇跡の様な確率で出会ったこの物語に、感謝を捧げます( ;∀;)