やまと言葉に彩られた高雅な純愛ファンタジー

平安時代を思わせる日本風の異世界を舞台とした、純愛ファンタジーです!

また、いろいろな形でしたためられた言葉に、魔力が宿るという世界観も圧巻。
言葉の力で邪を祓い、平安をもたらすこともあれば、呪いや病をもたらすこともあります。

そんな中、主人公の宮子は、皇太子の清白王を救うため、課題に立ち向かっていきます。

特筆すべきは、和歌による魔力の発現。
いや、魔力というよりも、祝詞であり、清めの力としての言葉の昇華というべきかもしれません。

作者様のいずれの和歌も、まるで神道の祝詞や万葉集の和歌を読むような、高雅で端正な、ときに情熱的な作品となっています。
それは、作者様のたしかな知識と感性があってこそのものだと思います。

僕も古語ややまと言葉は好きですが、到底このような言葉の使い方はできず、古き良き日本語の大切さを思わされるとともに、長い歴史の中で積み重ねられた『やまと言葉の魔力や言霊』を感じずにはいられませんでした。

それでいて、地の文や会話文は親しみやすく、読みやすい文体です。
風通しのよいピュアな筆致と、和歌のコントラストが、独特の世界観を作り上げているといえるでしょう。

作品の型としては、女性向けの純愛ファンタジーでありつつ、本格的な和歌ややまと言葉を取り入れた、斬新かつまさに『雅』な作品です。
本来のターゲットと思われる女性読書のほかにも、日本語を研究されている方や、日本語自体に興味がある方にもおすすめしたい名作です!

という長文になって失礼しました、、

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