極彩色を使いこなす御嫁殿と、光の申し子な旦那様。

緑壁国の王女テュベルーズ、33歳。もうこの時点で私はヒロインを全力で応援しようと決めました。だって、王女なのに33歳って!(泣)同世代として、生き遅れてしまった彼女の幸せを願わずにはいられない。さあさあどこへ嫁ぐのだと読み始めると、そこはどこか「和」を思い浮かべる島国、扇鶴国。輿入れの道中は色鮮やかで、テュベルーズの鮮やかな色彩感覚がきらりと光る描写は必見です。彼女は「彩りの魔女」でもあり、スケッチブックを使った魔法が使えるのです。

色に魅入られ、色を愛す。魔女としては半人前かもしれないけれど、過去につらいことが重なったテュベルーズが色鮮やかな世界に心惹かれていく様子は、本当に美しい。頑張り屋さんで、純真で、応援したくなるヒロイン(33歳)です。三十代の心当たりがありすぎる悩みによってファンタジー世界でもリアルさが光ります。ところどころグサッときました。

この作品の推しポイントは、旦那様が年下であるということ……!ここ、とても重要!オネショタなんて野暮な言葉は使わせない。だって旦那様の夕雅様はとっても紳士でスマートで優しくて包容力があって可愛らしいくてかっこいいのですから!!初心な二人のやり取りは目が焼かれます。屋内でもサングラスをかけて読むことをここに強くお勧めします。

からくりや神様や鬼など、扇鶴国独自のちょっと不思議な世界観も魅力的です。作者様の感性を惜しみなく注いだ珠玉の嫁入り。ぜひご一読あれ!

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