うつくしくて、すこし不思議な、謎めく国への嫁入り。

  • ★★★ Excellent!!!

魔女であり嫁であるテュベールズ、33歳。
読み進めれば、「どれほど彼女が魅力的か」はひしひしと伝わってくる。しかし彼女が抱える問題は現代女性に通ずるものもあり、ファンタジーなのになんだかリアルなのだ。
まずはどうかどうか、彼女に幸せになってほしいと思いながら、読み進める。

そのうちに、この世界にあふれる色彩に、知らずのうちに引き込まれている。
「色」と「ことば」がまじわることで、この世界は絶妙に美しく色鮮やかに描かれる。
この作品のすごいところは、単に「色」を語るだけで終わらないところ。
いま流行りのパーソナルカラーをモチーフとしたエピソードもあり、ベースの知識がなければ描けない「色」がすんなりと描かれているのだ。

そして、序盤から最後まで一貫して魅力的な、旦那・夕雅。
年下だろうがなんだろうが、彼は十分すぎるほど魅力的な「男」だ。
正直で優しく、素直で可愛らしく、男らしい。旦那にしたい男性ランキングで、上位に食い込むことは間違いない。

ただし、さらに上を行くのがやはり嫁・テュベールズ。
最後の最後まで勢いが落ちることなく、彼女の魅力が惜しみなく描かれた作品。
彼らを取り巻くひとびと(+α)も非常に魅力的で、なんだか愛おしいキャラクターばかり。
最初から最後まで、飽きることなく楽しめる一作です。

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