第12話
関西出身のフミカは、今、寝台急行銀河で、東京駅から大阪駅に向かっている。夜間、彼女は、東海道線で、寝台急行銀河に乗って、大阪の実家に帰ろうとしているが、あまり気が進まない。
今、沼津駅を寝台急行銀河は、通過したようだ。
フミカは、東海道新幹線のぞみ号で、いつも慌ただしく東京駅と新大阪駅を行き来しているが、今日ばかりは、そんなに早く帰りたくないと思って寝台急行銀河に乗った。
フミカのお父さんが、何か電話で言っていると思った。
お母さんは、「早く帰って来なさい」と言った。
そして、フミカは、ビールを一杯飲むと、うっつらうっつらして寝てしまった。
…
「ええ、お嬢さん、まだ、上方には着きませんぜ」
「こんなに14日もかけて、江戸から上方へ行くのは、うちは、もう嫌じゃ」
と言っている。
フミカは、江戸時代のかっこうをして、着物を着て、西へ西へ進んでいる。
「下にい、下にい」
「ほれ、お嬢さん、頭を下げないと」
「分かったよ、五月蠅いなぁ、権兵衛は」
「しかし」
「分かった、そちのいう分も聞こう」
と言った。
フミカは、そのまま、土下座をした。
和泉藩の何がしとかいう殿様が行き来している。
そこに
フミカは、土下座をしたら
「何か臭うな」
と思った。
どうも、犬の糞を手でつかんだ。
犬の糞が、たちこめ、しかし、一方で、大名行列がいる。
いくら、フミカは、今の状況が、寝台急行銀河の車内でなくても、危ない状況なのは、分かる。
フミカは、これでも、美人だが、これは、残念な話と思った。
何故、こんな目に合わないといけないのか、と思った。
そして、そのまま、フミカは、今度は、川越をしている。
どうも大井川だろうか?
怖い人相の男が、フミカをかつごうをした。
しかし、待ってほしい、フミカは、自分の下着のパンツが見られて嫌だとか思っている。
一応、フミカは、寝台急行銀河の車内にいると思っているが、何だろう?と思った。
さらに、今度は、荒井の関所に来た。
また、怖いお侍さんが、じっとフミカを観ていた。一部のお姫様が、姫街道を通っていた。
ここが、徳川家康のふるさと、岡崎城と言っている。2023年の大河ドラマは、徳川家康だったが、築山殿は、有村架純ちゃんだったな、と思う。浜名湖では、ウナギを食べることができず、残念と思った。
そして、途切れ途切れだが、今度は、名古屋の熱田神宮から、船に乗った。誰かが、「一九先生の『膝栗毛』の真似」と言って、筒におしっこをした。臭かった。そのまま、四日市を超えて、さらに、亀山へ向かった。
…
その時、鉄道唱歌の大和田先生が出てきた。「汽笛一声」の音楽が流れた。フミカは、大学生の時、国語を専攻して、鉄道唱歌の卒業論文を書いた。今の出版社で校正の仕事をしているが、そもそも、出版社の面接で、『鉄道唱歌」を歌ったら、即採用になった。
そして、司書の資格を取った。
そして、速記者になって、作家のユウイチと付き合っている。
まだ、フミカは、24歳だが、ユウイチは、40代後半になっている。ユウイチは、どうしているのか、と思った。ユウイチは、売れない作家だったが、今度の作品で、ドラマ化されるらしい。
ユウイチは、生まれは、東海道線の汽笛一声の新橋の生まれだそうだ。
収入は、食っていくだけの収入しかないが、それでも、フミカは、何だか、一緒にいたいと思った。
フミカは、女優の有村架純に似ているといつも、ユウイチは、言っていた。
…
あれ、鉄道唱歌って、明治時代だよね。汽笛一声新橋を…は、江戸時代。そして、熱田神宮から桑名は、船だけど、江戸時代になっている。
そして、そのまま、最後は、京都三条大橋に着いている。
この辺りから、フミカの知り合いの先生や友人もいる。
そして、何故か、急に、東海道新幹線のぞみ号が、びゅんと走った。
…
「まもなく大阪。大阪でございます」
ああ、夢か。
寝台急行銀河は、東海道線の大阪駅に着いた。
親に会いたくない、と思っていた。
寝台急行銀河は、大阪駅のプラットフォームに着いた。
そして、ぼっとした顔で、大阪駅の朝焼けを観た。
チケットを、改札機に通した時、そこに、恋人のユウイチと、フミカのお父さん、お母さん、姉のコズエがいた。
両親と姉のコズエは、フミカとユウイチに「あなたたち、一緒になりなさい」と言った。
寝台急行銀河は、東海道線の大阪駅を回送列車になった。
その時、フミカは、「お父さん、お母さん、ありがとう」と言った。そして、フミカとユウイチは、夫婦になったそうな。ユウイチは、作家になっても、悪戦苦闘しながら、執筆活動を、東京で頑張っていたそうだ。そして、子供も一人授かったそうな。<終>
東海道五十三次の人たち マイペース七瀬 @simichi0505
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