――――――ラグナァアアアア・ビィイィィィィイム!!
「――――――すげえな! 『ラグナー』の耐久! こんな爆発へでもねえってか」
『言っとくが、受けとるのワシだからな!? 『トール』はめっちゃ揺れとるぞ!』
『『ラグナー』が合体することで発生するエネルギーは、周囲の攻撃を防ぐバリアーにも転ずる。あんな爆発、効きはせん』
「そうかよ、ジジイ。じゃあ……」
俺はニヤリと笑って、目の前に巨大な紫色の
「あのデカブツが爆発しても、大丈夫か?」
『――――――試してみろ。ターナー。『オーディン』はお前にお
「何?」
『武器をイメージしろ。なんでもいい』
なんでもって……だったら、とりあえず、剣――――――いや、槍だ。何だったら、長くて刃があって、遠くからでもぶった切れるような奴がいい。それで―――――――。
『イメージを固定させながら、『ラグナー・モーフィング』と叫べ!』
「―――――――ラグナァァアァアアアアアア・モウフィィィィィング!」
叫ぶと同時、『ラグナー・オーディン』の手から魔力エネルギーが迸る。それを合わせると、姿がみるみると変わっていった。それは――――――俺のイメージした、遠距離から相手をぶった斬ることが出来る長槍そのものだ。
「……おぉっ!」
『それが『オーディン』の能力だ。お前の想像した武器を、魔力を変換して自在に作り出すことが出来る』
「へっ! なるほどな! わかってるじゃねえか」
確かに、この能力は俺にうってつけだ。何しろ俺は、武器なんて使えりゃいいからな。ほかの誰よりも、使ったことのある武器の数には自信がある。思う存分作って使い捨てられる、俺にうってつけの能力だ。
「……っしゃあ、いくぜぇ!」
俺は長槍を振り回し、構える。向こうもやる気なのか、鋏を突き立てて威嚇してきた。
「……うぉりゃああああああああああああああっ!」
長槍を回転させて、俺は遠心力のままに、蠍を真っ二つにすべく横に薙ぐ。
でかい図体だ。躱せるはずもない。蠍は長くそそり立った尻尾を斬り飛ばされた。砂に落ちる前に、尻尾は大爆発を起こす。尻尾だけでも、人型の爆発の数倍の威力だ。
「ギャシャァアァアアアァァアァアアッ!!」
「うらああああああああああああああああああっ!」
動揺する巨大蠍を、俺は槍で突いた――――――穂先ではなく、柄の先で。外殻を破壊しはするものの、爆発を起こすほどの損傷は与えない。
槍をくるんと反転させ、今度は砕いた外殻に穂先を突き刺す。
「飛んでけやああああああああっ!!」
槍の柄を掴み、巨大蠍を刺したまま上へと放り投げる。さすが『ラグナー』、巨大蠍も軽々放り投げられた。
「ギャアアアアアアアアアッ――――――――――――――――――――!!」
そして空中で、巨大蠍は大爆発を起こす。
しかし、空中だ。周囲への被害は少ない。幸い、爆発した後の連中は塵も残らない。落下物の心配はない。
「へっ! 大したことねえ。あとはザコどもか!」
『いちいち武器で倒してたらキリがないな』
『……なら、『ラグナー・ビーム』を撃ってみろ』
「ビーム!? そんなのあるのか?」
『魔力エネルギーの消費が激しいから連発はするなよ』
「ああ、わかったよ!」
『……絶対わかっとらんぞ、コイツ』
アヅマの小言はさておき、やり方はさっきと同じ。レバーを強く握って、狙いを定めて、勢い込めて叫んでぶっ放す。それだけだ。
「――――――ラグナァアアアア・ビィイィィィィイム!!」
胸部分に、エネルギーが赤く集まっている。『オーディン』のボディラインとも呼応するように、一点集中したエネルギーは、一直線に、砂漠を貫いた。
――――――真っ二つに、砂漠が割れる。砂の中にいた蠍どもも、もれなく道連れだ。
直後、砂をかき分けるように、大爆発が巻き起こり、砂塵が巻き上がる。
爆発の連鎖は、首都を取り囲むように巻き起こっていった。あくまで周囲を取り囲む蠍が爆発していくため、街そのものには被害が広がらない。その代わり、爆風によって巻き上がった大量の砂が、砂漠全体に降り注いではいたが。
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