変形! 『ラグナー・ロキ』!
南へ飛んだ俺たちは、すぐに目標地点へと到達する。
「おい、地下水源なんてどうやって行くんだよ」
『俺に任せろ』
分離し、俺たちは空中で順番を変える。『オーディン』の俺が先頭の体勢ではなく、『ロキ』に乗るサイトが先頭のフォーメーションだ。ちなみに俺は最後尾。
『――――――
掛け声とともに、合体する。合体によって誕生したのは、漆黒に青いボディラインを光らせる、ラグナーの新たな姿。かぎ爪や角も相まって、悪魔的なイメージを想起させる。同時に、『オーディン』よりもはるかに細いシルエットは、パワーを削ぎスピードに特化していることを示していた。
『ラグナー・ロキ』は合体すると、腕を伸ばして高速回転を始めた。さながら、全身が一本の強靭なドリルになったかのように、そのまま砂へと潜っていく。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
高速で砂を切り裂いたかと思えば、突如空洞に飛び出す。目を回すかと思ったが、そんなことはなかった。
『ターナー。あとは任せるぞ』
「お、おう!
空洞内で再度『オーディン』に再合体し、モーフィングで両手に剣を作り、周囲を警戒する。
地下水源――――――にしては、広すぎる。そもそも『ラグナー』が合体できるほどの広さの空間があるって言うだけでもおかしな話だ。
『明らかに、空間異常が発生しているな』
「おいジジイ! 『ゲノム』反応はどうなってる!?」
『……どうなってるも何も、お前らと重なっとるわい』
「は?」
そして、俺たちは気づいた。
この空間、地下水源なんかではない。目の前の空間にあるもの、そのすべてが――――――。
「……卵?」
小さいもの、人間サイズのもの、『ラグナー』に匹敵するもの。上下左右前後、すべてにあるもの、それらすべてが……
『なんと、異様な……!!』
『ここはつまり、女王の卵巣の中か』
「……何? 卵巣?」
ということは、ここは『ゲノム』の体内ということか。
だったら。俺はニヤリと、不敵に笑う。
「ラグナァァアアアアア・ビィイイイイ……」
『――――――気をつけろ、ターナー!』
ラグナー・ビームを撃とうとした俺のところに、巨大な刃が飛んでくる。「おっと!」と、素早く回避すると、無数の卵の陰からぬっと、姿を現した。
―――――――『ラグナー』よりもはるかに巨大な、空飛ぶムカデ蠍。刃と思ったのは、こいつの毒針だった。
「――――――そう簡単には、行かねえよな!」
空間内を飛び回りながら、ムカデ蠍の放つ毒針を回避する。毒針は大量の卵を潰しながら、俺たちを追ってきていた。
『ターナー! 前方、飛行蠍多数!』
「わかってら……あっ!?」
迎撃しようとモーフィングしようとしたとき、体の動きがぐん、と止まった。卵から出てきたムカデ蠍が、『ラグナー』に巻き付いていたのだ。
「野郎!」
俺は斧を生成すると、ムカデ蠍の頭をぶち割った。すぐに爆発に巻き込まれないように、退避する。そのまま、飛行型もまとめて叩き斬ってやった。
「……爆発しねえぞ?」
『当然だな。ここは敵の体内。爆発などできようはずもない』
「なーるほど……なら、遠慮はいらねえな!」
モーフィング、全開! 剣を生成し、両手に構える。
ここから先は、簡単だ。周りの蠍を片っ端から殺したあとに、このバケモノの卵巣の中に特大のラグナー・ビームを撃ちこむ。
それで、このバケモノ蠍は終わりだ!
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