変形! 『ラグナー・オーディン』!!
『ターナー!』
後ろから反応があったので振り向くと、『ラグナー・ロキ』と『ラグナー・トール』が迫って来ていた。どうやら、こいつらも飛んできたらしい。
「何だよ、遅えじゃねえか!」
『何をやっている! おとなしく戻れ!』
「何バカ言ってやがる、ここまで来て帰れるかよ! このまま砂漠まで行くぞ俺は」
『やれやれ、思ったより義の篤い男だったようじゃの、お前さんは』
「そんなんじゃねえ! 俺が手を伸ばしゃ助けられる奴を、助けねえのは気持ち悪いだけだ!」
『……この、バカどもめ……勝手に出撃しおって……!』
通信から、ジジイの声がした。どうやら2人も勝手に出てきたらしいな。
「おい、ジジイ! 小言は後で聞いてやるから、俺は砂漠に行くぞ!」
『……待て』
「悪いが、もう飛び出しちまったもんは――――――」
『違う。『ラグナー』を合体させてから、砂漠へ向かえ。そう言っとるんだ』
『父さん!? 無茶よ! 合体訓練なんて、まだ1度も……』
通信機の向こうで、ジジイとキュールが言い合い始めた。……通信機、切ってやろうか。父娘はしばらく揉めていたが、やがて娘の方が折れたらしい。ジジイの通信が入る。
『『ラグナー』は、3機の順番によって、姿が変わる。今、『オーディン』が1番前にいるな』
「おう」
『合体モードにして、『オーディン』、『ロキ』、『トール』の順番に空中で整列しろ。そうすれば、ある程度の合体ラインが表示される。その通りに機体を接合させれば、合体は完成だ』
言葉通りに空中で並ぶと、確かに。俺は1番上だから目視では見えないが、モニターには機体のケツ部分に赤いラインが表示されていた。
「ようし……サイト、来い!」
『……『ロキ』、『オーディン』と接合する』
冷静なサイトの言葉と共に、モニター上の2つの機体はみるみると近づいていく。
そして、機体がちょうどくっついた時。激しい機体の揺れが、俺を襲った。
「……ぐううううううううううううっ!」
合体の衝撃で、操縦桿が言うことを聞かなくなりかける。力の限り握りしめ、何とか踏ん張った。
『……接合、完了!』
『よし。では、ワシの番だな』
アヅマの声と共に、今度は『トール』が接合する。やはり、合体時の衝撃は凄まじかった。なるほど、確かにこれは、相当の筋力も必要とされるわけだ。
『……よし、3機とも合体したな。なら、ターナー。変形レバーを引け』
「変形レバー……こいつか」
俺はレバーを握り、思い切り引く。
レバーを引くとき、自然と俺は叫んでいた。
「――――――
******
3機重なった『ラグナー』は、目覚ましい変化を遂げた。
『オーディン』の先端部分が顔となり、翼部分が腕へと変形する。白銀の顔に、赤い単眼が、ギラリと光った。
『ロキ』は腹部となり、従来の飛行形態から、スリムな形となる。
『トール』は翼部分が格納され、ロケット部分が伸び、足へと変形した。
そして、空中での姿勢制御のためか、背中部分からは白くたなびくマントが現われた。
こうして、『ラグナー・オーディン』は、その姿を完全としてあらわす。
合体を終えた『ラグナー』は、まるで当然のように、空中に佇んでいた。
「……これが、『ラグナー』……」
『そうだ。そして、合体したことで、メイン操縦権が、ターナー。お前に移る』
「何?」
『本当だ。操作が効かんぞ、こっちは!』
アヅマの通信が聞こえる。どうやら、メイン操縦の俺が操作を手放さない限り、サイトたちは操縦ができないらしい。
「……とにかくこれで、『ゲノム』とやらをぶちのめしに行けるわけだな!?」
『勝手に出撃した以上、今更引っ込みもつかん。……必ず勝って帰ってこい』
「へっ! 上等だぜ! 行くぞっ!」
俺がエンジンを噴かすと、『ラグナー』は超高速で飛行を始める。
(……なるほど、コイツが合体したパワーってわけか……! 『ラグナーマシン』とは比べ物にならねえぜ!)
それはゲット山脈から遠く離れた砂漠地帯まで、あっという間に着いてしまうほどの速度だった。
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