第11話

あっという間に年も明け、共通テストも過ぎ去った。もうすぐ、俺の戦いが終わる。長い、短い戦いだった。

「お前ならもっと上行けるかもな」

「…そうかー?」

「うん。ま、でもお前この学校に行くって言って譲らなかったから上行けとは言わねーよ」

「俺は慎重な人間だからね」

「偏差値低いとこ行きゃ受かるって考えは甘いぞー?」

「大丈夫。共テの点数も悪くなかった」

「…ならいっか」

友達との話も、ずっと前から勉強か大学の話。聞き飽きた。耳を塞ぎたい。それでも耳を塞がなかったのは、あの子の声にちゃんと答えたいから。

「おーい、面談だぞーぅ」

「お。行ってくんね」

彼は腰を上げて教室を出た。

「あっ」

「…よう」

「こんにちは!」

彼女は廊下を小走りでどこかへ向かっていた。彼が声をかける頃にはもう遠くにいた。彼女の後ろ姿を見ることしか、できなかった。


高校3年、冬。俺の恋心は狂っている。

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