第13話
俺は何とか受験を終えた。やっと戦いが終わった。まだ合否が出ていないから、安心はできないけどね。…いや、それ以上に安心できないことがある。
「……なんで俺、わざわざ自習室行こうなんて思ったんだ」
彼は自習室の扉を開けようとして、はっと我に返った。彼はもう受験から解放されたのだから、もはや自習室など自分の敵だとさえ思うほどだった。それでも、彼は悩んだ末に扉を開けた。
「……センパーーイ!」
「やっぱりいたか」
「ゲッ!?思考が読まれてる!?」
「あんた単純なのよ」
「次こそは…っ」
「…次、ねえ」
「?」
「ほら俺、受験終わったじゃん?だからもうここに用はないんだよね」
「あ、そっか…あ!お疲れ様でした!長い間!」
「お?おう。さんきゅー」
「それで、…えーと、センパイはもうここには来ないんですか?」
「ま、そゆことだな。卒業式まで1週間くらいしかねえけど、友達と青春を謳歌しに、放課後はどっか遊びに行くわ!!」
「………いいと思います!今までやれなかったぶん、ぜーんぶやって来てくださいね!」
「おう、ありがとな!」
彼はそう言うと、彼女の隣にぽすっと座った。
「?行かないんですか?」
「今日は、お前のために来たからな。わかんない所あったら教えてやるよ」
「〜〜!…センパァァァァァイッッ!!!」
「いっだ!?!?頭突きすんな!」
高校2年、晩冬。私はまた同じ人に恋をした。
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