集中したい後輩ちゃん

水まんじゅう

第1話

古ぼけた教室に入ると、そこにはたった1人、静かに勉強をしていた。

「…1人なんですか!?この広い自習室で!?」

彼女は思わず大声をあげる。向こうもかなり驚いたようだった。

「お!?お、おう!誰もいないよ!?」

「ほんとですか!一緒に勉強してもいいですか!?」

「あ、はい!どうぞ!」

彼はそう言って、隣の椅子を指した。そして座りやすくしておいた。

その時ちらっと見えた上履き。

「…センパイなんですか!?」

「お!?おう!2年ですけど!君は…1年?」

「はい!」

「1年のうちから自習室に来るその姿勢に拍手を送りたい」

「いや…勉強できるところ聞こうと思って職員室探してたらここに辿りついただけなんですけどね…気になって入ったらこの有様ですよ!」

「そんな言い方すんなよ!ここは俺のナワバリみたいなもんなんだぞ!」

「えぇ!ごめん!なさい!」

「ま、いいんだけど…とりあえず勉強するならパッと集中してやろうね」

「はーい!」

彼女はにっこり笑って彼の隣に座った。


高校1年、春。私は恋をした。

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