第5話

なんで好きなのにOKを言わないのか疑問に思ったと思います。俺は今まで告白したこともされたこともありません。だから何もわからないんです。もし俺があの子に好きを言ったら、もう会えない気さえするんです。

「今日の夜雪降るらしいですねぇ」

「明日の状況次第で休校だな」

「お!大雪かもん!!」

「…で、なんで俺の教室来んだよ」

「センパイに会いたかったからです」

「…とりあえず帰ろうか、ほら俺のクラスメイトたちに怪しまれてるから…」

「センパイはいつも、私の恋の集中を切らしますよね!」

「よーわからんけど…課題やるから帰りな。見ててもつまんないしね」

そう言われた彼女はふてくされた顔で教室を出た。

「じゃあまた、放課後に!」

かと思えば、笑顔で手を振った。

私はセンパイが好き。大好き。でもセンパイはこの冬を超えたら受験生。勉強の邪魔になるものは切り捨てると思います。それが意味するものは簡単で、センパイに好き好きと付きまとう私は__。

「放課後、ちゃんと話してみようかな」

彼女は悲しげな表情を浮かべ、自分の教室に戻った。


高校1年、真冬。私は自分の恋心の居場所をなくした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る