間男♯4 探偵何も意味ないじゃん!アンタ達意味ないじゃん!NTRじゃないじゃん!?

 何かスーツを着たちょっと年上ぐらいのキツめの顔の人に事務所に来いと言われた。


 確かに友人が暴走族に入ってしまったりと、あまり俺自身に良いイメージは無いと思う…が、事務所に連れて行かれる様な事は何もしてない…と、思う。


「大丈夫、悪いようにはしないから、安心して欲しい、とりあえずこっちに来て…ほら車に乗って…大丈夫だから…すぐだから…」


 まるでヤクザのようなセリフを吐かれながら車に乗せられた。

 車は防弾ガラスの付いた高級車…何故に?


 ものの数分で、目的地と思われる3階建ての建物の前まで着た…が…看板が…


『定満会直系・根多会』

『有限会社・根多建設』

『NETA出張スマホ相談』

『ソフト開発シラヌキ技研・第2分室』

『NTR相談探偵事務所』


 何だこの建物…業種が闇鍋のようで、とにかく悪いイメージのビルみたいになっているな…

 どれも全部俺と関係無い要件ばかり…この中のどれかが俺と関係があるらしいか…


 促されて中に入る…どれだ!?ヤクザか!?

 そして俺が入らせれたのは…


『NTR相談探偵社』


 …と、プレートに書いてある部屋へ…大分予想外だ…


 プレートの裏面には『ソフト開発シラヌキ技研・第2分室』と書いてあるのが見えたが…


「お~い、イクエちゃん!彼にコーヒー…で良いかな?飲み物…コーラもあるよ?」


 中に入ると眼鏡をかけたスーツ姿の知的な女性と、その横にはデカッ!?何かパーツは整っているんだけどなんか熊みたいなデカい女の人…身長も180近いんだけどとにかくガタイが良い女の人の2人が並んでいた…


「じゃあコーラで良いっす、それで何の用事でしょうか?」


「その前に、そのコーラはオレが空き缶を集めて買ったコーラだ、心して飲むように…コーヒーにしとけよなぁ…」

「す、すいません」


 ガタイの人が急に変なこと言うから、たかだかコーラで変な空気になった…飲みづれぇ…


「おい!依頼人の関係者を萎縮させるな馬鹿!まぁまぁまぁ…まずは我々の自己紹介から始めようか」


 いやいや、要件を先に言ってよ!?何だかわからないまま自己紹介!?


「では…事務員の私からメンバーを紹介させて貰うわね?」


 唐突に事務員だという知的な感じの女の人が紹介を始めた…


「まず、探偵社一の調査員と言われる私、コードネームはイクエと言うわ。覚えても覚えなくてもどちらでも良いけど…私の事を知的な女性なんて言って…惚れちゃ駄目よ?♥」


 何故かウインクされたが何で知的な女性って思った事がバレたんだろう?それと探偵と言いながら偽名ってどうなんだろう?信用が出来ない…

 

「続いて先程まで貴方を迎えに行ってくれたのは室長の根多博之…まぁそこの醜い巨塔に言わせると、ヒロ室長ね…特技は拷問と自爆と耐久、後は呪い…これだけ聞くとあんまり探偵は向いてないわね」


 あんまりじゃなくて探偵ではないと思いますが…


「そして最後は醜く蠢く巨塔、藤原さんこと探偵のタツ、一番給料貰ってるのに言葉の通じないパワープレイが得意よ…それしかできないわ…探偵どころか早く人間になれると良いわね…本当に馬鹿の考えている事は分からないわ」


 何でその人はいるんですか?と思いながら見るとデカいタツという人が、イクエと言う人をキッと見ながら言った。

 

「諫言はよせ!オレはタツ…た、道場一の天帝だ。アレ?」

 

「ほら、馬鹿でしょ?間に『道場』っていきなり入れようとしたから探偵と天帝を言い間違える、南斗聖拳でも率いるつもりかしら?それに諫言と甘言の意味をすぐ間違える。とにかく…貴方には選択肢が3つあるわ…まず1つ、私に依頼する…つまり洗脳で貴方の想い人…郡御冷を魅了するわ」


 はい?御冷を洗脳?何故に?


「続いて室長の俺に依頼すると…彼女の真実を知る事になる。彼女の行動を探るんだ…合法ストーカー行為だ!その結果…幸か不幸か分からないが…間違いなく!ひとつ上の男のメンタルになる事を約束しよう!」


 何故、対して仲良くも無い幼馴染にストーカー行為を?


「オオトリはこのタツだ!オレに頼めばざまぁ保証を約束しよう!既にご存知の通り、1ざまぁを見て頂いていると思うが…何度でもざまぁする、納得いくまでな!」

 

「ざまぁって何ですか?」


「今朝方、電気が走っただろう?アレはオレが代わりしてやった、お前のざまぁだ!僕が先に好きだったのにぃ!悔しい!電気流しちゃう!こうなったら間男になってやるー!ってならない?まぁちょっと…スーツ依頼した先がオレが着ると勘違いしてて電圧イカれてたけども…」


 今朝の騒ぎ…アレはこの人達の仕業なのか…


 正直、何が何だか分からないが関わらないで欲しい…多分、ここ最近の御冷の奇行は全部この人達のせいだと思ってきた。

 いや、多分そうだろう…


「ざまぁも、洗脳も、しません…」


「やっぱり!真実を知りたいんだな?よし!つまり俺と一緒にメンタルトレー「しません、関わらないで貰えますか?」


 眼の前の男の人が立ち上がり手を伸ばした体制で固まった。それを笑いを堪えている女性2人…それはともかく…


 御冷…お前はこの人達を使って本当に何がしたかったんだ?

 やっぱりちゃんと話をしないとな、できるかな…でも…さっき、少しだけ涙が出た時に思った。


 久しぶりに眠っている御冷を見て…昔を思い出して泣いた事を…ずっとしかめっ面か睨まれるか、ここ数年そんな顔しか見ていない…もう昔の笑顔を思い出す事でしか…過去の御冷でしか心が動かない事を再確認できた。

 だからきっと話ができる…何に怒っているのか、俺に何をしたいのか?

 今の俺と御冷は…多分、実際の所は互いに関心は無いのだから。


「つまり…御冷と俺をどうにかしたいと?誰の差し金でしょうか?まぁ多分…親ですよね?最近、御冷とは疎遠だったしアイツも何か思う所があるから俺が憎いんでしょう…良いんですよ、何もしなくて…関わらないで貰えますか?心配しなくてもしっかり話しますから」


「え?いや、全然違うが…関わるなというが…うーん、拗れてんな…タツ、お前が持ってきた案件何だからお前が何とかしてくれ。依頼主はお前が引っ張ってきたんだし…」


 え?違う?まぁ本人から聞かないと…


「ネタキュンシュ室長どうしたの?自分が選ばれたと思ったら全然違ったから拗ねてるのかしら?」


「グッ…違うよ…依頼主と関わっているタツの方が話が早いだろ?」


 依頼主って誰だ?俺と御冷の間に何がいるんだよ…男か?


「そうだなぁ…ちょうどダラダラしながらこっち向かって来てるしちょうどエエやな」


「勿体ぶってますけど…依頼主って、誰なんですか?」


「あー、もう面倒くせぇから言っちゃおう…探偵ってこういうのであってるんだっけ?では解決編だ!依頼主は郡御冷って女だよ、お前がさっきから名前を出してる女な。お前をな、間男にしたいらしい…ちなみにあの女、本命はお前だ。エロい事もしたこと無いし、彼氏もいないぞ。むしろお前のストーカーだよ、どうしょもねぇ女だ」


「藤原さん、それ…依頼主が言うなって言ってた内容じゃない?全部ネタバレしてどうするの?守秘義務契約って知ってる?裁判したら負けるわよ?書類残ってるしコピー渡してるし…どうしょもねぇ女は藤原さんよ」

 

 はぁ?俺が本命?全然意味が分からないんだけど?


「はぁ?オレに裁判?全然意味が分からないんだけど?おかしいだろう?何で皆、オレに理由無き挑戦を仕掛ける訳?理由を言ってみろ眼鏡、後、オレの名前を言うな」


「何、その北斗の三男の逆パターン(笑)馬鹿なの?」



 何やら知らんが勝手に揉め始めた…

 今、感じているのは…とにかく自分の意志以外で話が進んでいる事が嫌だ。

 何も選んでいる気がしない…知ってはいけないような情報が入ってきて、勝手に話が進んでいくのが嫌だ。

 とにかくこの場を去ろう、そうしよう。


「よく分からないけど帰りますね、ちょっと落ち着きたいので…」


「あ、じゃあ送っていくよ…ごめんね、時間使わせちゃって。大丈夫!もう何もしないから、真っ直ぐ送るから」

 

 あまり信用出来ないが…送ってもらおう…断るのも面倒臭いし。

 

 ガレージに行き車に乗せて貰う。

 助手席に座りシートベルトを締め車が走り始める。


「本当にすまんね、俺の彼女が探偵やりたいって言うからやってるんだよ…あ、彼女って大きい方ね。多分、もう契約破棄になるから気にしないでね」


 車の窓の外、進んでいく景色を見ていると落ち着いてきた。

 ドライブってこんな感じなんだろうか?まぁ、一緒に乗っているのはヤクザっぽいお兄さんだけど…


「本当に…御冷が依頼してきたんですか?正直…俺は…御冷が何をしたいのかさっぱり分からなくて…」


「えぇ?そうなの?まぁタツがバラしたから全部タツのせいになるし良いかな…郡さんはね、多分君のことが好きなんだよ。だけどどうして良いか分からない感じだったよ?」


「えぇ?そんな感じありませんでしたよ?いつも睨むか、しかめっ面で…返事も『ん』とか『もう行っていい?』とか冷たい返事ばかりで…俺としては行くなら何処にでも行けよって、どっか消えちまえっていつも思ってましたよ…」


―――そっちのイクじゃない――


「えぇ?そうなの?一回御冷ちゃんとやらに会ったけど…君にべた惚れだったよ?けど変わりものっぽいからなぁ…ちゃんと話したほうがいいと思うよ?俺の付き合ってきた彼女も変わっててね、前の彼女は残酷な俺が好きとか言ってたし、今の彼女のタツは好き過ぎてコケシをケツの穴に入れてしまうとかコケシキ○ガイみたいな…そもそも頭がおかしいんだよ…話にならないんだよなぁ」


―――か、かか、彼女をコケシキ○ガイとはこれいかに―――


「そうっすか…でも御冷、昨日勝手に布団に入ってきて奴隷がどうした意味分からない事言ってましたよ?後、何か聞こえないっすか?」


「いやいや、ウチのタツなんか、この間何か寝てる時に自分のケツに挿していたコケシの形したペンケースをゆっくり俺の口に入れようとしてきたからね、お前が馬鹿にしているクソスライム先輩とやらと同じで頭がおかしいんじゃね―かと、秘密を教えるとか言うから何かと思ったらさ、『コケシが3分の1入ってる時はきっと純情な感情だと思う、あの歌詞はそういう意味だったんだ」とか訳分かんねぇ頭の弱い事をグォおッ!?『探偵が彼女の秘密をバラすなァァァァァァッッッ!!!』


「ちくしょぉぉぉっ!新谷君っ!シートベルトはしてるかぁぁぁぁ!?」

「ハイイイイぃぃ!!」


 急に運転中のヒロさんのクビに大きな熊の様な生き物が大声をあげながら覆いかぶさった!?

 一度車が止まった後、何かに目標を定め再度、急発進する車…今日俺、死ぬんかなとか思っていたら、突然目の前に何かが落ちてきた。


 御冷だった…プッシャー姿の御冷が…後部座席から飛び出した御冷は対面で抱きつくように俺に飛び乗った。

 もう傷が治っているのか…早くね?てか、保健室にいるんじゃないの?何故…車に?


「な!な!直太く!い、いぃ今だから!変身しているから!言えるっ!私がずっと間違えてた!イクっていうのはえっちな意味でっ!?え!?」


「「「うおおおおおおおおおおおおお!?!?」」」

 

 御冷が何か滅茶苦茶な事を言っていたが、それよりもまず、御冷の真後ろ、つまり車の前面に壁があった。つまり激突する…俺はシートベルトをしているが御冷はしていないし、さっきまで保健室にいた様な状態なんだ。

 俺は全力で御冷を抱き締めた…飛び出さないように全身を強く!


 ヒロさんはアクセルを踏みながらタツさんを掴んでフロントガラスに叩きつけようとしている!?なんで!?


「ンアア!?♥直太君!?それ!♥それで私イクの!♥気持ち良くてイクのっ♥分かってく…


 ガガァアアアアアアアアアアアアアンッ!!


 壁と正面衝突!衝撃に備え飛ばない様に指が食い込む程強く御冷をギューッと抱き締める!何か指が入ったような気がするけど気にするなっ!強く!


 パーーーンッ!!ガランがらん…


 流石、少し古いとは言えベンが付く高級車。

 エアバックがしっかり発動、俺と御冷は押し付けられ更に密着した。

 エアバックが戻らないけどこういうもんなのか?


 「ハァハァ…ふぅ~っ…助かった…?」


「オゥッふ!♥ンハァッ!?♥なおたぁくぉ♥しゅきぃ♥息吹きあきゅみぇ♥」

 

 密着し過ぎでお互い顔を、まるで互いの肩にかけるように、お互いの耳元に口が当たる様な状態で顔は見えないが、何か御冷は俺に好きだとか言ってるのはよく聴こえる…


 そして顔を正面に…目が蕩けた御冷と互いに向き合う形になった…


「御冷…好きって何だよ?お前は別に俺の事は足手まといの幼馴染にしか思ってないだろ?お前はもっと沢山の出会いをうぉ!?」


 ブチュー…レロレロレロレロレロ…


「分かってるくせに!♥くしぇにいぇ♥オフっ♥」


 急にディープキスを敢行する御冷…これ、もしかして洗脳されてない!?


 まぁ良いや…もうどうでも良い…俺は身を任せるが如く御冷の口を貪った。

 だってさ、御冷は昔と違ってヘンテコな格好でバイザー越しだけど、流石学年でトップクラスと言われる可愛さだ。正直嬉しい。

 話し合いはしてないけどもぉ良いや…


 俺は…御冷の顔の向こうに見える映像を見て、3つの事を思った。


 1つは、シートベルトって大事だなと思った事。


 2つは、何故ヒロさんは彼女のタツさんをエアバックの当たらない所に追いやりタツさんをフロントガラスに刺したのか。


 3つは、タツさんの下半身だけ車内に残っているが、ミニスカートだと思ってたものが腹巻きだった事、そしてコケシ?みたいなものがパンティー横から漏れており3分の1程挿さっているが…外側と内側のどっちに3分の1だと純情な感情なのか…


 俺の指がエアバックに押し付けられ、御冷のケツの穴にコスチュームごと3分の2程入った状態で…御冷の口をむさぼりながらそう思った…



※次回からcase1、探偵&女編スタートです。結局こんな事になってしまいました(土下座)

 



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