NTR探偵社〜オムニバス形式で綴るある探偵の備忘録

クマとシオマネキ

case:1 幼馴染は〇〇ヒロイン、強制的に間男になった男と恋の話

相談者は最近『ん』『ん!』『ん♥』の違いが分かるようになってきた…

間男side 幼馴染は冷たい、だから俺は…

『格好良いこと言っても…お前はやっぱりどうしょもねぇ好きもんだなぁ…もちろん、今日も入れてきただろうなぁ?このメス豚ヒロインが…』


『写真返してぇ!キヨシ君に合わす顔がないよぉ』


『純粋ぶって…元からキヨシとやらに合わす顔なんかないだろ?清楚な振りしてる奴が一番簡単だわ…自分でも分かってんだろ?下の口が欲しがってるぜぇ?』


『キヨシ君ごめんれぇ♥ワラシはえっちぃな、おんにゃぁ♥総統しゃまぁもっとくだしゃいぃ♥』


 俺は元々一ミリも興味無かったジャンルの漫画を読んでいる。いや、今も無い。


   『完堕ちヒロイン、寝取られ快楽地獄』


 この悪い奴…この悪い奴は駄目な奴だ。

 だけど女の子ももう少し考えるべきだ。写真を取られて困る様な事するな。

 何でも出来る様な気になるな。

 私がしなければとか、考えるな。

 近付かなければ良い、何もしなければ良い。

 警察に言えばいい、色んな人に言えば良い。

 コソコソ影でやるから正体がなんだという話に…

 いや、いちいち言うのは無粋か…


 

 こんなものを見るキッカケになったのは、高校2年の始まり…ある出来事からだった。






―彼女がこっちを見ている、まるで咎める様に―


 俺は別に何も悪い事はしちゃいない。本当だ。


 ただ、小学校以来か?彼女と同じクラスになっただけ。

 なのになぜ睨む?ただでさえお前は人気者、クラスのヘイトが俺に来るからやめれ。



 俺、新谷直太アラヤ ナオタは平々凡々と生きてきた。

 小学校から高校まで、それなりの成績で、部活では中学まで柔道で補欠、高校では帰宅部でバイトに励み、たまにクラスメイトと遊ぶ。


 趣味は…何だろうなぁ…目下検討中?まぁ毎日、適当にスマホいじって、帰ってパソコンで動画見て…軽く勉強して…そんなよく居る高校生、それが俺。


 その俺に、自慢…出来るかどうか知らんけど幼馴染がいる。

 だけど疎遠だ。普通、そうじゃないかな?

 ずっと仲良しなんて物語の中だけだと思う。


 その幼馴染は郡御冷コオリ オヒヤ、その名の通りかどうか知らんが、異様に冷たい、反応も薄い。


 彼女とは中学生になったあたりで疎遠になった。

 部活で忙しかったり異性の話すのが気まずくなり、同性と話す事が多くなり、会話が自然と無くなるどころか挨拶すら無くなった。


 それに俺は中学後半で少しだけグレてしまい、学校をサボったりしていたので、当時の御冷の顔もぼんやりとしか覚えていない。


 彼女はとても口数が少ない奴だった…しかし人から聞いた話では部活の新体操でエース、成績も優秀…そして何より見た目が…

 久しぶりに見た御冷は、少しツンとした少し吊り目と上がり眉のキツめの顔、性格がキツそうだが可愛いの顔の部類に入るだろう。

 明るさは無く必要最低限の事しか言わないが、それが的を得ている為、誰も何も言わないし、言えない。

 噂では氷の様にクールな郡さんだってよ…

 そういえば中学時代は生徒会の副会長までやっていたそうな。


 そんな感じだから余計に距離が開いた。


 少年…いや、中学時代、正直意識していた時期はあるが…元から無口で口を開けば意味の分からない事ばかり言っていた。

 それでも小学生までは楽しく遊んでいたが…中学に入ると基本的に「ん」「あぁ」ばかり、一度態度に我慢できなくなってしつこく絡んだ事がある。

 何で俺だけそんな態度なんだよ…と。したらさ


「んっ!?なに?直太、ちょっと駄目…なんだけど?もう行って良い?じゃ、行くわ」


 とか言われたんよ。それっきりまともに話してない。

 最近はまぁ、中学生女子なんてそんなもんだろうと思うようになってきたが当時はショックだったな。


 高校に関しても、中学最後の方は御冷は学年トップクラスの成績だった筈だ。

 可もなく不可もない高校、彼女からすればかなり下のランクのこの学校を近いからという理由で選んだらしいが、俺としては世話になった恩師…中学の担任に恩を返すつもりで全力で勉強した結果がこの学校なんだ。

 だから…被害妄想かも知れないけど馬鹿にされてるような気がするのは俺の器が小さいのだろうか? 


 そんな感じで、1年の時は関わらず、2年で同じクラスになっても初日から特に目を合わせず1年の時に同じクラスだった、カップルの2人と談笑していたが…


 何故か御冷が立っていた…しかも何か怒ってんだけど…別に喧嘩腰で接する必要も無いしな。


「なんかようっすか?郡さん?俺は用事ないっすけど?なんか相談なら彼氏さんにやってもらえないっすか?」


 コイツだってクラスに友達いんだろ?彼氏とかもいんだろ?後ろからヒソヒソ言ってるじゃねぇか…

 こっちだってフレンドリーに来るなら一言二言返す気あるが、無言で睨んで来るなんつー態度取られたら気分悪いわ…俺みてぇな奴に絡むのはやめろや。


「ん…なにそれ…もう我慢出来ないんだけど…」


 急にガタガタガタガタガタと震え始めた…顔に青筋立てて…何だこいつは…


『パァンッ!』


 そして俺に平手打ち…痛くは無いけど…コイツ…散々無視してきて、久しぶりに話しかけて来たと思ったらいきなりガンつけて来て、挙げ句教室の中で平手打ち…

 これ、怒って良いんだよな?


「んだよてめぇ!?いい加減にしろや!ふざけんなよクソがっ!あぁんっ!?クソ女!聞いてんのかクソヅラ女っ!」


「ちょ!?直太!ちょちょ!落ち着け!」


 ムカつき過ぎて首を掴んで勢いよく教室の前面、片手で首締めたまま後頭部を黒板にクソ女と連呼しながら何度か叩きつけた…談笑してた男の方が手を伸ばしてたが…


 俺は中学の時はグレていたが今は普通の人だ。

 しかもグレていたというか、喧嘩はしない…ただ、だらしない人だ。

 でもね、幼稚園児の時から知ってて疎遠になったや奴に、いきなり喧嘩売られてみ?

 同じ目に合ったら結構な人数がキレると思う。

 よくクラスのアイドルとかクラスカーストの上位とか言うがそんなん知らんし。


 しかしながら…俺に腕力が無いのかなー…一切抵抗しないし、そもそも余裕な態度の御冷…


「ちょっと新谷君!なにしてんの!?やめなさいよ!」


「うるせぇな!コイツだろうが!?最初に手ぇ出してきたのはよっ!」


 クラス委員だかコイツの友達か知らんが別の女に止められた。

 1年の時にクラス一緒だった奴は止めるのを止めていた…ビンタを見てたからか、単に関わりたくないのか…

 俺は別にキレたからと言って何にも分からなくなるようなマッドな男じゃない、止められればやめるような情けない男なんだよ、だってマ…


「いい…気にしなくていい…すぐ行く…」


 御冷の発言に血管が切れたような気がした。

 いつもそう、どこに行くんだよテメーはよッ!?

 俺の頭の中で辛い経験を思い出しながら、何かが弾けた。




 そう、コイツ中学の時からそうだ。

 人を本気でムカつかせる。いつもいつも何がしたいんだよ…

 中学の時も…詰め寄った理由は簡単…俺には冷たく馬鹿にした態度を取るくせに、生徒会長か?一緒に楽しそうに帰ってたな。腕組んだりして…

 高校になってもサッカーだかバスケだか知らんが他の部活の奴と楽しそう笑いながら帰ってやがった。


 御冷さんとキヨシ君だか何だか、お互いの下の名前で呼び合ってな?


 良いんだよ、俺の恋が敗れようが…中学の時は生徒会室で会長とキスしてたとの噂、そして高校では別男の家から出てきたと噂も流れようが…

 辛いけど祝福だってしてやるさ。

 昔から知ってんだからよ?

 

 だけど…昔馴染みだけによ…わざわざ会長と遊びに行ったとか、会長はこんな所が良いとか、直太とはここが違うとか、ボソボソといちいち言いに来て、良かったなって言ったら『ん』しか言わねぇ…その態度は何だっつー話よ?

 中学の時は怒鳴って、二度と俺に話しかけるなって言っただよなぁ…




 そして今、気付けば青白い細くて長い御冷の首を、両手で締め上げ、黒板に押し付けながら持ち上げていた…

 青白い顔でこちらを見る御冷、位置関係もあるが完全に見下されている。

 少し涎が出ているが一切抵抗せず冷たい目で見下してきやがる…クソっ!

 やっちまった…退学…かなぁ…とりあえず投げ捨てる様に下ろした…


「ゲホっ!ゲホっ!ん…ハァハァ…」


「先生!早くっ!こっちです!」


 クラスメイトが呼んできた先生と目が合う…クラスメイトとも…あぁ…これは誰も俺の言い分は聞かないな…まぁ言い訳なんてないし…まぁ良いや…


 もうどうでも良いや…


「先生、今日は気分が悪いので帰ります…」


「え?いや、お前…」


「詳しい事はそこの女から聞いてください、それで判断して下さい。明日は学校来るんで。後な、郡さんよ…何がしてぇのか分からねぇし、何で嫌がらせすんのか知らねぇけどさ、とにかく二度と俺に近づくなよ…いちいちムカつくんだよテメーは」 

 

 キレてる風だが実際は逃げる様に教室から出る…正直手が震えた…自分でも御冷の首を締めるとは思ってなかった。

 ムカつき過ぎてって、そんな理由で首を締めて良い訳ない。

 ただ…昔から知ってるから、積もりに積もったものがあるから歯止めが効かなかったってのはあるけど…俺だって常識ぐらい分かる。

 女の子の首締めて凄むって、どうかしてるな…


 あーあ…1年の時の同級生は庇ってくれるだろうか?後は御冷の説明次第だけど…最悪、退学だなぁ…


 帰道り…まだ昼前だ。

 近くの公園でジュース飲みながら考える…

 あー…思えば御冷って小学生の時から何がしたいのかよくわからん奴だったな。


 ただ、俺の後ろにくっついて来て。俺のやる事なす事、凄いって言ってな、あの時は良かった。

 本当に、大人しくて不思議な奴だったなぁ。


 小学校の低学年の時を思い出して見れば、パッとしない自分が嫌みたいで、変身願望はあったもんな…

 アニメとか見てると、知ってる人ならギリギリ分かるぐらい小さく興奮して…私もあんな風になれるかな?強くなりたい、明るくなりたいって言ってたし。


 何になりたいのか、なれたかどうか、声小さすぎだし無口過ぎて、子供の時は結局分からんかったけど…いや、周りが羨むほど綺麗になって、成績も優秀、新体操で上位の結果出して、イケメン達のグループでキラキラ笑いながら青春をエンジョイする…御冷は変われたんだな…考えれば変わってないのは俺の方だよ。


 俺といえば御冷が生まれ変わっている時に…中学では部活で上手く行かず万年補欠、成績も悪く御冷を含め周りと上手くいかず学校生活から逃げた。

 

 そして高校生になり、自分や他人に期待するのをやめ、ヘラヘラと、多くを望まずのんびり過ごそうと思ってたのに。

 まさか向こうから絡んで来るとは…しかもガンつけ、挙げ句の果てには平手打ち…何が悪いのか分からんけど、今回は逆ギレして、放り投げて逃げ出したけど…


 アイツとしては…幼馴染の癖にだらしがないとか、情けないとか思ってんのかな?

 それでいちいち絡みに来るの!?あり得ないだろ?だったら俺とは他人で良いじゃねぇか!


 あーあー…俺はなに独りでイキってんだ…もうメンドクセ…空になった缶を投げ捨てるがゴミ箱に入らず、ついてねぇなと思いながら空き缶を入れ直して空を見たら既に日が暮れていた…こんな時間まで独りで何やってんだろ…。


 家に帰ったら学校から電話があったらしく、家族総出でリビングにて裁判…心配された…


「アンタ…学校から電話あったわよ?早退しましたが変わった様子は無いですか?って。とりあえず寝てるって言ったけど…何で普通に夜帰って来るのよ…なんかやったんでしょ?」


 母ちゃんが正直に言いなさい!みたいな空気出してきてウザい…それに昔からそう、向こうが…郡家がなんて言ってんのか?

 正直に言ったところで俺の話なんて聞きやしねぇ…

 よくわからんが家が近所で幼馴染、親同士も、仲が良い…いや、良かった。

 ただ、俺の素行の問題か…はたまた男女の違いか、基本的に俺が悪いで落ち着く様に出来ているし、俺と御冷がお互いの話をしなくなったからだろう。

 俺が一方的に冷たくしているという事で落ち着いている。 

 本人同士は最早、他人のようになっているのにな。


「昔みたいにどっちが悪いとは言わん…ただ、せっかくの幼馴染だ。もう少し仲良く出来んか?」


 親父が譲歩した感じで言ってきたが、出来ません。何故なら向こうが、喧嘩腰だから。どうにもできません。

 その後も続く両親、兄貴、姉貴、一番下の俺は順に説教されるのみ…だりぃ…


 聞き流しながら飯食って、そのまま風呂に入る…結局小言のせいで部屋にも帰れてねぇよ…


 しかしまぁ、電話で心配されたって事は退学はなさそうだ…御冷もあそこまで強く言ったらもう関わって来ないかな?

 寂しいような気がするけどコレで良い。

 だって関係が改善される気がしないんだもの。


 今日はどっと疲れた…さっさと寝よう。

 そう思いながらタンクトップとボクサーパンツ姿で部屋に戻り暗い中、真っ直ぐに布団に入った時…………………

 

 何かがベッドの中にいるっ!?

 飛び込むように掛け布団を捲りベッドに入ったのが悪かった。


「んぉっ!♥んんおおうっ!?♥おっおっおっ♥」


「ウオオオオオオオアァアァアッッッ!?!?」


 俺はビックリし過ぎで少しチビッた…部屋のベッドといえば安全安心の場所、寝る場所でありGの存在すら許されない場所だ…そこに人型の何かがいた。

 俺は悲鳴をあげながら飛び退き、恐る恐る布団を剥いだ!


 そこには…


 黒と白と赤…光沢のあるエナメルのような素材、それがまるで亀甲縛りの様に身体中を網羅する帯状コスチューム…


 肘までのグローブに、スニーカーとニーハイストッキングが合わさったような、これまたテカテカ素材のブーツ。


 首周りは胸の上までしかない襟のあるシャツの様な、同じく光沢の素材、身体中に巻いてある帯をまとめるような作りになっている。


 そして顔…柔らかい素材のマスクにスポーツサングラスの様なバイザー…変な形のカチューシャ…おデコまでしっかり見える切られた青色に染めた前髪のボブカット。もみあげ部分だけ長く、まるで漫画のキャラクターの髪型…そして見た事のある顔…考えたくない。

 何でだよ…


 首には首輪が付いており、そこから紐が出てベッドの上部に固定、更には両足首にも足輪がついておりベッドの下部に巻き付いており、両足と首周りで異なった3方向に引っ張られていた…グッ!?ガッ!とうめき声をあげる、昼に喧嘩したような気がする女のあられもない姿だ…

 何でだよ…


 両手はクロスするように拘束されている…まるで胸を揉める様な位置だ、てゆーか両手てしっかり揉んでるわ。

 何でだよ…


 よく見ると何かクセェ…股…ケツ?からなんか尻尾みたいなのが生えてる…尻尾?の先から明らかにゆるい『大』が…そしてブーツの踵からはアンモニア臭のするあれ…つまり下手すると俺のベッドのシーツは疎か、ベッド本体までも再起不能の可能性が高い…

 何でだよ… 


 何でと考えるのはもうやめよう…コイツは…あの後…髪を切って染めて、着替えて、部屋に侵入して、ベッドに拘束されたのか?何に?

 まだ8時間ぐらいしか経ってもないぞ?


 とりあえず汚いし怖いから動かそうとするが…


『おああ!?いあ!い?いうっ!?いうぅっ!あおごぁ♥』


 ガチャっ!がちゃがちゃ!ガチャ

 ガクッッッ!ガクガクガクガクガクッッッビクビクビクビク


 しっかり固定されているな…そして力付くで取ろうとすると凄まじい痙攣と共に奇声をあげる…

 ブビュッ!ブビュッっと尻尾の先端とスニーカーの踵部分からとめどなく汚物が漏れる…

 俺は覚悟を決め問う…


「何のつもりですか?郡…御冷さん…迷惑なんですが…お願いだからやめてくれませんか?これは流石に承服しかねますが…ここまで来るとキレる事も出来ませんので…」


 心から訴えたつもりだがビクビクしているだけで反応は無かった…よく見たら気絶しているようにも見える。

 なんせ、暗くてぼんやり見える彼女の目がどこを見ているのか分からず、濁りすぎていて思考がまるで分からない。

 とりあえず首輪と足輪を外したいけど…本人に聞くしかない。


 俺はこの女、御冷にしか見えない奴のマスクを下げる…すると涎まみれの口をには楕円形の口枷が付いていた…それも顎の下にずらす。


 すると激しく乱れた「ハァハァ…んハァ…あ…はぁぁ」という苦しそうな吐息が漏れる。


 もしかして今日の事を詫びに?いや、そんな訳ない、こんなものは詫びじゃない…だとすると…嫌がらせ?何のために?

 とりあえず電気を付けた…ぼんやり見えていた時は分からなかったが…凄まじい惨状だ…何で俺の下着やティッシュゴミが転がっている?


 俺は椅子をベッドの近くに寄せ座りながら俺のベッドを占拠している珍獣に聞いた。


「もう一回聞くけど…どういうつもり?」


 すると御冷だが…御冷とは思えない状態の生き物が顔だけこちらに向け、濁りきり遠くを見てるような…しかしすがる様な目をしながら言った。


「わ、私は…トキ…トキメキ精装★コールド・プッシャーだ…ハァハァ…私の…負け…だ…これからは…貴方に…従うわ…直太…総統…クァ…アッフッ!アッ!アッ!」


 もう数年ぶり…久しぶりに御冷の言葉を聞いたと思ったら…いや、まともな台詞ではないな…


「何を言っているのか、分からないな…」


「これから…あ!クゥ…分かるわ…自分のした事…それともまだ…キヨシに…気があるふりを…すればいいの…?」


 何言ってんだコイツ…マジでどうしたんだ?俺が悪いのか?昼あんな事したから…


「よく分からないけど…この…首輪とかの外し方を…」


 とりあえず丁寧に聞いていく…昼や中学時代とはうって変わって行き絶え絶えながらもよく喋る御冷…


「この拘束具は…キューブの形したパーツを触って…貴方の指紋認証で外れるわ…あなた…貴方だけのコスチュームになっ…まって!電気付けたまま!?いやちょっと!」


 はぁ…とりあえずコスチュームにいくつか付いているガラスの様なキューブ状のものをペタペタ触る…


「ま、俟ちなさいっ!あ!あ!あああぁぁ!?閉まっ!?脱げ!?抜け!?あひっ!ヒァッぁ!」


 何だようるせぇなと思ったら、確かに首輪と足輪は外れた…が、帯状のコスチュームがどんどん細くなり紐になり肉を締め上げる…鎖骨あたりからブーツのある膝上ぐらいまで…ゴム紐で亀甲縛りしてるような状態で大事な部分は全部丸出しの御冷…無論俺はついていけずガン見…いや、このバイザーみたいの取ろう。

 まず御冷でないとそもそも話し合いが出来ない。


「カッ!?バイザーもとりゅの!?なぜ!?ましゃか!?あはぁ…ゥッイッ!


何故ってお前…何故って俺の台詞だわ…


「おい、御冷…俺の話を聞け…」


 すると意を決した様にいきなり俺のスマホを取り、壁に立てかけ、俺を押し倒して来た!?

 顔が近付く!唇が、当たる!?…舌を入れてきた…うおお!?

 

 カシャァッ!カシャァッ!カシャァッカシャァッカシャァッカシャァッカシャァッ


 立てかけているスマホから連続でシャッター音が鳴る…タイマー!?そして唇を離し一言。


「コレで私…コールド♥プッシャーはアナタの奴隷…先程の指紋認証で貴方にロックされた…私は貴方の恐ろしくも淫靡な指示を受け続けるしかないのね…それじゃ…」


 這いずりながら出ていこうとするコールド♥プッシャーこと御冷…いや、ちょ、待てよ!

 俺は御冷の顔の両サイドを手で押さえ顔の突き合わせた…コールド♥プッシャーとか訳の分からない話じゃない。

 御冷と話す為にだ…


「いい加減にしろ御冷、せめて片付けていけ…聞いてんのか?御冷、お前だよお前」


 眼前で目を合わせながら伝える…するとどうだろう…みるみるうちに顔は紅潮し、汗がブワっでて口が半開き、涎を垂らした。


「き、きき、きょきょきよきょ、きょう、いたしゅの?おほ、おっ!」


 はい?なに?なんて言った?目がグルンっと上を向き、気絶したかと思ったら急に虹色の人影が部屋に入ってきた!?


「はい、時間切れ。コレはまた酷い惨劇…プッシャーの第一話は終わり、第二話はまた今度。バイビー!ちょっと古い?」


 虹色の人が御冷の足を掴んで、まるで子供が人形を持つように乱雑に引き摺り御冷を連れて外に出ていった。

 あまりの速さに俺は何もできずただ外を見てるだけだった…後ろのベッドの事を考え無いようにしながら…


 そして学校でも意味不明な御冷の行動は続く…そして数日後…スーツの男の人が突然やってきて知る事になる…この意味不明な状況の真実を…


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る