探偵は流行が苦手① 〜最近、流行のざまぁがよく分からなくて困った〜
「探偵という仕事の依頼がない、つまりこの街は平和という事だ。良かった、良かった」
「じゃあチラシでも配って勧誘でもしてらっしゃいよ」
やはり平和が一番!良い事を言ってるのに同僚のストーカー眼鏡が水を差す。
ブラック企業、仕事がない時、チラシ配り。
効果の無いものに縋る哀れな女、その名はイクエ眼鏡。
「じゃあ、お前が行って効果を確かめて来い、意味無いから」
「は?私は事務仕事あるし?この会社、ゴーストだからね。税金対策の書類大変よ?」
私が怖いもの、幽霊の名を出せば怯むと思っているのか。
「とりあえず今日、変なヤンキーの恋愛相談あるからやりなさいよ」
何だよ変なヤンキーって…本当に嫌だ。
何とか眼鏡に変なヤンキーという見える地雷を押し付けたいと思っている所に電話が入った。
「はい!こちら藤原龍虎がオススメの変なヤンキー以外の恋愛相談事務所だ」
心の声が出てしまい変態が眼鏡越しにジト目をしてきた。
『あのう、この間病院で…じゃなくて命を助けて貰った…』
ほう、あの小僧か。瓢箪みたいなギターで落下してきた奴。
アイツ、音楽やってるって言ってたな。お洒落な相談かもしれん。
…と、なれば私の出番だ。
「何?このオレ、藤原龍虎をご指名とな?」
『あ、えぇ?…まぁはい』
眼鏡が「嘘つくなよ」とか言ってるが、本当の事だっつーの。
私はお洒落な相談の為の準備をする事にした。
「とゆー訳で、眼鏡は変なヤンキーの相談な!何かヤンキー雑誌の投稿欄みたいなの聞け」
「はぁ…しょーもな…」
―――――――――――――――――――――――
やはり流行を追わねば…と思うのは探偵の性と言えよう。
私は超◯水をテーブルに置き、考えた。
力というまさにパワーワードの入った◯力水…魚の成分、頭が良くなるDHCみたいなものが入ってるらしい。アレ?DHAだっけ?
私は流行りのエナジードリンクがだめだ、カフェインが入っているからだ。
目がギンギンになる。すると深夜、下腹部もギンギンになる。
そうなると眠れぬ夜を過ごす事になる。
だから?と言われたら何も言い返せない。
とにかく流行り、流行りだ。
今、エナドレ(と、若い子は言うらしい)にストローさして飲むのが流行ってるらしい。
「探偵さん、相談に来ました。良いですか?」
「あぁ、喋れ。気の向くまま、心のままにな…オレはエナドレをする」
「エナジードレイン!?ま、まぁ…姉がですね、どうも復讐するとか言い出してて…」
格好つけたもののどうでも良かった。何かツッコんできたり色々と喋っているが興味がない。
最終的な的には臨機応変、千変万化のざまぁをするだけだ。
それよりも若者風にお洒落な感じで…
私は巨大なシェイク用のストローを挿し、超力◯を吸い込んだ。
「それで元カノの…「ブフォッ!?グオホッ!?オフっ!?」
「えぇ!?今なんか吹く所ありました!?」
お前の話に吹く所なんか無い。ただ、この超◯水の炭酸かおかしい!パッケージを見ると…
【極!
りきすい!?バッタもんじゃね―か?強炭酸をストローで吸引って殺す気か!?まぁ私が飲んだんだけども…
「それで…どう思います?どうすれば良いですか?」
なにが?
私からすれば【りきすい(バッタもん)】を飲んでたら突然『どう思います?』とか言われても、どうもこうも無い。
どうしようか考えていると横のつい立から眼鏡対変なヤンキーが対決していた。
「だから洗脳するの?それとも諦めるの?諦めないの?だったら洗脳するしか無いじゃない?馬鹿が」
コイツはいつもソレだな…
「…何で駄目なのよ。面倒くさい、ゾンビみたいでも良いじゃないの。アンタ、その男を酔わして何発もやったんでしょ?しかもNTR(笑)今更何を…」
お?ヤンキー女がキレた?
「それを言うなっつーの!?わざとじゃねぇーから!ちょっと…その…タイミングが…でも…まんざらでも…もしかしたら…酔ってちょっと本音が…」
「グズグズグズグズ、うるさいわね。そんなもん押し倒して……はぁん…何、抜いた時が良い?騎乗?乳首?舐め?行為中、男の顔見すぎ…何思い出してエロい事考えてんの!?プーっ!」
「な!?な!?な!?なんなんだよぉ!オメェ!さっきから何でウチの事しってんだよぉ!?」
涙声で抵抗するヤンキー…アイツまた、洗脳だか心読んだりする詐欺してんのか…眼鏡も性悪だなぁしかし…すると眼鏡と目があった。
こちらに身を乗り出して来る眼鏡…私の依頼人を凝視している…何だよ?
依頼人は依頼人で「何でぇ!?」みたいな顔してるし…お前は浮気でもしたんか?
「あぁ?…あーあー…この男じゃん…思いついたわ一石二鳥、適度な家具はニ◯リ、お値段以上のタイミング、面倒くさい事はすぐ終わる。私は本当に出来る女、下痢便トーテムポールと違って。しかしこの探偵事務所、本当に藤原さんみたいな女ばっかり集まってくるわ…」
「はぁ…何だお前?藤原さんはポールマッカートニー?」
何か今馬鹿にされたような気がしたが?何だ?
眼鏡は何やらカーテンだけの仕切りをカラカラと持ってきて防音の仕切りをどかした。
多分変なヤンキー女とやらが、カーテン越しにシルエットが見える。
うるさい音声がダダ漏れ…私と私の依頼人からみると、まるで匿名でインタビューするみたいに影だけになっている。
「んで、結論だけど?貴女は要はその男の子が好きなのね?」
「あーっ!そうだよ!好きだよ!わりぃかよ!?歳下で可愛い奴でよ!しかも昔より格好良くなってるんだぜ?親友だった女の可愛い弟だ、気も合うしな!そんな男が泣きながら甘えてくるんだぜ?それに酔ってるとは言え、私の初めての相手だ!惚れない方が可笑しいだろ!?そりゃあ、オメェ彼女がいた頃は諦めたよ、墓まで持ってかなきゃってな!けどよぉ!相手が浮気してるって、別れたって聞いたら…オメー…そりゃ…ウチだってよぉ…チャンス…あるかなぁ?とか?」
「いや、私に聞かないでよ。それで酒飲まして、前回と同じ様にまたヤッたと?抜ける時が良いと?騎乗?乳首?舐め?」
隣がうるさいな…嫌なファミレスみたいだ。
何をヤンキーに騒がせてんだよ…眼鏡もヤンキーも発情期か?
それに尋也だっけ?私の依頼人もギョッとした顔して何やってんだ?
「うるせぇな!それを言うなよ!なんで知ってんだ!?プラなんだっけ?侵害だぞ!?それに…アイツの死ぬ程辛かったんたぞ!?死にかけたって聞いて号泣したよ…悲しい顔見てると何でもしたくなっちゃうんだよっ!あんな…『うぅん、ヒーさんそれ気持ちぃいよ♥』なんて甘い声で言われてみろ!お姉さん気取って言っちまった!『私を好きに使えよ、なんでもしてやるから♥』ってよ!?何でもやってあげたくなっちまうだろうがよっ!?」
「…はい、言質とった…」
眼鏡が小声でなんか言った後、急に眼鏡が蹴るようにカーテンをどかした。
カラカラカラカラカラカラー
「ウチだってなぁ!?尽くす女だぜ!?惚れた男よ!?ヒー坊に何でもしてやるって言って『性的に?』そう、性的に!出したのも飲んだぜ!ついつい入れながっ!?乳首!?舐め!?い!?え!?て!?ふあああああ!?じぇんぶきいえたぁ!?」
ガッシャーン!
確かに変なヤンキー女が出てきたと思ったら椅子から転げ落ちた。なんだ?このギャルのなり損ない。
真田ネコウンコとはまた違う、ちょっとムッチリした猫顔のヤンキー女。
ジャージ姿だが、監督かコイツは?
「は、ヒーさん…いや…姉ちゃんと…もしかしてミドリ…さん?」
急に土下座?顔を隠しながら土下座の姿勢で言い訳し始めた…なんのザマァが始まっているのか?
私を置いてザマァをしないで頂きたいが…
「ヒロ坊…いや、尋也…ごめん、ごめんなさい…げ、幻滅したろ?偉そうにしてたウチが…ごめ…ふぐぅ…」
何、泣いてんの?全然意味が分からない。
「おい、眼鏡。説明しろ、大丈夫、眼鏡の攻略本だよぐらい分かりやすく詳しく」
「あー、簡潔に説明するとぉ…このヤンキー女はこの尋也だっけ?この男の姉の友達だったけど、その姉が藤原便器さんの幼馴染み、淫乱アイカに魂を売ったようで…喧嘩別れしたみたいね。で、何かヤンキー女…名前が確か翡翠?と、この尋也には何か思い出があるようだけどどうでも良いわ。とにかく多分この女、昔はもっとスタイルも良く、外見や格好もちゃんとしてたから、尋也は憧れてたみたいね。しかし、今の変わりようで尋也は気付かなかったみたい。しかもこの女、気付かれないと思って尋也を泥酔させてヤっちゃってるわ(笑)で、この尋也は尋也で、幼馴染みの彼女と上手く行ってない時にこのムッチリヤンキー女にほだされたから、自覚ないけどちょっと惚れちゃってたからショック顔…でもまぁすぐ落ちるわ」
イカ?今、イカ女の名前が出たが?
「おい、眼鏡、ざまぁは?」
「ザマァ無し!追放で終わり!まぁ面倒くさいからこれから2人でホテル行け。それで完。これが私の恋愛相談RTA、ハイ終わり、解散!私は伝票整理に戻る!」
眼鏡かペラペラなんかいったが良く分からん。
女は泣きながら土下座して謝り倒しているし、男は呆然としている。
だが…私は何も話を聞かず考え事をしていたら閃いた!勝ち筋が見えたぞ!
「きけい!皆のもの!つまりこれから行うのは藤原龍虎プロデュース!ミュージャンざまぁだ!」
何故、誰も私の方を向かない?
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