間男side♯3 BSSやらNTRやら…勝手に問題を起こし不幸になる人達とは?

 雷のような凄まじい音と光…その中心にいた御冷は…


 制服が焦げ落ち、かろうじて何とかプッシャーの格好をしているが…朝は普通のロングヘアーだった…ウィッグでも付けていたんだろう。

 そのウィッグも燃え落ちて、昨日のおデコの見えるボブカットに割れたバイザーを付けているが…髪がちぢれて逆立っている…口から泡と煙…とゆうか全身から煙が出ていて、肉の焼ける匂いがする…目は白目…そして何か大量の排泄物が…その…

 多分気絶してる?しかし立ち方が不自然で…まるでスーツの力で立たされてる様に見える…てゆーか息してる?漫画でいうと立ったまま死んだ人みたいになってるんだけど!?

 え?もしかして俺のせい?そんな…


―――藤原さん、とうとう殺したわね。いつかやるとは思ってたけど探偵どころか、人殺しとはねぇ―――


 何か頭に響いてきた!?違う!俺は殺そうなんて…

 

(いや、オレ関係ねえし。後、死んでねえし。お前が死ねし)


 ん?小声で違う人が返事してる…ロッカーから?


―――でも彼女、動かないわよ?スーツあげたの藤原さんじゃない?流石にタツじゃないとか、通用しないわよ?しかも学校の教室で―――


(それ藤原じゃないし?とりあえず蘇生させるわ、お前はとにかく全員の記憶無くせ。あ、ターゲットの記憶は残しとけよ、オレ説明すんのめんどくさいから)


―――蘇生って事は死んでるじゃない…で、千代とネコのクソを用意する…と。本当に藤原さんは汚いわね―――


(だから死んでねぇし…クソで傷治るのはスライムのせいだし臭すぎて気つけになるのはネコのクソだし…とにかくお前が死ねし…良いからやれし…オレやるし…)


―――何で変なギャル口調なのよアン『バァンッ!』


 全員が驚きの顔で御冷を見ていたが、突然ロッカーが開くと同時に巨大な熊の様な影が御冷に急速に接近、何か茶色いものを顔面に『メチャァ』っとぶち当てた。


 直後に「ブハァッ!?」と息を吹き返し、まるで『私、生きてた!?』という顔をしている。

 直後、身体は動かないようだが、俺に向かって怯えた様な懇願するような…何とも言えない顔をするプッシャーこと御冷…


「はい、オッケー。ほら死んでね~じゃん、じぁあ拐うわ。眼鏡は仕事しろ…」


―――分かったわよ…何でパートの私がメインで仕事すんのよ…正社員何だからもっと仕事しなさいよ…洗脳も、何回もするの嫌だから色々端折るわ―――


 そしてまたロッカーから一人、勢いよく人影が出てきた。

 虹色の人魚のような人影が天井に走ったかと思うとキイイイィィィィンと言う音と共に虹色の光が教室を包み…その直後、俺を含めクラスメイトは立ったまま全員意識を失った…






 数分後、まるでクラスでは何事もなかったかのようにいつもの日常が過ぎている。

 かくいう俺も何が起きたか分からないが…皆、忘れている?

 あそこまで派手にやって、誰も覚えていないなんてあるのだろうか?

 ボーっとしていた担任が突然、俺を呼んだ。


「おーい、新谷。確か郡の家の近くに住んでたよな?郡の保護者と顔見知りか?保護者に連絡しといたから来るまで保健室で見てやってくれないか?」


「はい?何で俺が?」


 何が?何で御冷は保健室にいるの?


「いや、郡が急にお前の前で貧血で倒れたろ?今、保健室にいるんだよ。お前近くにいただろ?頼むよ…何かこの間お前の家に電話した時も、お前の両親に聞いたら痴話喧嘩みたいなもんだってな?清い交際をしてくれよ?」


 先生…俺は…何も理解してないまま怒涛のスピードで話が進んでいるんだが…何かなかった事になっているのですが…


 仕方ない…御冷の所に行くか…起きてたら気不味いなとか思ってたら、保健室の前に何か知らん男がいた。

 

「君が郡さんの近所に住む幼馴染の新谷君か…郡さんは大丈夫?」

 

 陽キャ…とは言わないけど、どっか爽やかな空気を持った奴が保健室の前にいた。


「大丈夫らしいけど…郡御冷さんに何かようかい?伝えとくよ。」


「いや、別に良いんだ。急ぎじゃないから。次の大会、同じ会場だから郡さんの演技を見に行きたい、それと、時間があれば郡さんも俺の応援に来てくれると嬉しいって言いたくて」


「あぁ、分かった、それぐらいだったら伝えとくよ。でも起きてたらな」


「おぉ、ありがとう!新谷君、噂と違って良い人だね。助かるよ」 


「噂ってなんだよ(笑)どういたしまして!それじゃ!」


 あ、名前聞き忘れた…まぁ良いや…

 そうなんだよな、御冷を心配してくれる人は大勢いる、その中にクラス1のイケメンやスポーツマン、俺よりまともでしっかりしたイケメンが大勢いる。 


 だから…なんで幼馴染が俺なんだよって思いながら保健室のドアを開ける。


 御冷は静かに眠っていた。火傷っぽい傷があるらしく顔に包帯巻いてるけど奇跡的に後が全く残らないらしい…いや、明らかに雷落ちたみたいな感じだったよな?

 やっぱり俺だけ覚えてる、あの変な人達が何かやったのか?

 しかし…普通にしている御冷、久しぶりに近くで見たな…

 睨んできたり冷たかったり、いつもおかしな事になってるからな。

 昨日今日に至っては完全に常識から外れてるけど。


 しかしな、こうやって見ると、顔に包帯巻かれてても綺麗なんだよな、コイツは…

 冷静に考えればな…お前は分かってないみたいだけど…俺の事を憎もうが何しようが、お前が俺より何でも出来るし、お前がモテモテの人気者であり、俺は路傍の石である事には変わらない。


 それに…お前は変われた、そして俺は変われなかった。


「はぁ~…中学の時…何を間違えたのかな…」


 嫉妬心丸出しで怒鳴った事とか、いくらでも原因は思いつくけどさ…床を見つめながら、まだ笑って俺の後を付いてきた時の御冷の顔を思い出す…そして考える…


「やっぱり…好きだから…なのかなぁ…男関係は…煽られるは…どうしてもイラつく…ついついカっとなるんだよなぁ…今更…なぁ…諦めるのを更に自覚しろってかぁ…」


 心の中で深い溜息をつきながら、ふと顔を上げると御冷が起きてこちらを見ていた…しかも目を見開いて…


「聞いてたか?…ん、じゃあ…そういう事だよ…わりいかよ?でも、ま、結論は出てるから悪く思わないでくれ。ずっと…何で冷たいんだよ?何で俺がいるのに他の男と付き合うんだよ?って勝手にプンプンしてな、俺が悪かったよ。もうさ、お互い意識しあうのはよそうぜ?」


 口に包帯巻かれてるから何言ってるか知らんがモゴモゴ言ってる。目だけはやたら力が強い。


「お前が何を怒っているのか分からんけどさ、悪かったよ、色々と…もうさ、お互い、いい加減やめようぜ?廊下の外にいたよ、スポーツマンが今度試合を応援してくれってよ?応えてやれよ?もう昔みたいに…キヨシだっけ?アイツの時みたいに怒らない、イラつかないから。お前が付き合ったら笑って伝えるよ、幸せになれよってさ、友達らしく」


 ギリギリ聞こえる声で『変身しなきゃ』と言ってるっぽい…ブルブルしながらも何か変な機械を掴もうとする腕を止める。何で変身だよ?


「俺の事は良いから、変身もしなくて良いから、今はゆっくり休んで…お互い素敵な相手を見つけて…落ち着いたらまた、話し合おうぜ?」

 

 ちょうどその時、御冷のお母さんが来た。

 

「あらね、直太君!学校で会うなんて不思議な気分ね!この娘ったら本当に…直太君に迷惑ばかりかけて…」


「まぁ昨日から今日にかけてはそうですね、でも大丈夫…これからは誰か支えてくれるし、俺も大人になりますから(笑)んじゃ戻りますね」


「あ、直太君?ちょっと平気?」


 顔色が悪かったのだろうが?それとも悲壮的な顔してたんだろうか?

 俺はそのまま学校を出た…クラスに戻る気も起きない。

 ムカつく、苛つく、嫌い、気に入らない…その反対は…無関心…か。

 出来るかな、出来ないとな。大人になるために。


 もしかしたら…俺にあれだけ絡んで来るってことは…御冷も少しは俺に気持ちがあったんだよな。


 ただ致命的にすれ違い、気持ちは理解できず、お互いの事が分からなかっただけ。選択肢があっとしても尽く間違えただけ。それだけ。


 思い出してしまう…キヨシだっけ?あの虐めばっかりやってたムカつくキヨシが真面目になって。

 御冷と二人で生徒会の会長と副会長やって…放課後に二人で、よく生徒会室にいたな…いやぁイライラした…


 そしてタイミングも悪かったな…小学校の時、一緒にヤンチャした…キヨシを殴りに行った時も一緒だったら友人がグレて…止めたら喧嘩になって。


 いつまで小学校の時と同じ感覚でいるんだよって言われてなぁ…

 わりいかよってキレた後に廊下から見た…御冷とキヨシのキス…幸せそうで…あんだけ苛められたのに…人は変わるんだって。

 噂ではそれ以上の事もしてたんじゃないかってな。

 全部俺だけ止まってて…周りはどんどん大人になって…俺だけ…その後に御冷に怒鳴って…完全に八つ当たりだよな…


 俺に…怒る権利なんて無いんだよ…


 「アレ?目から汁が……ハハ…ハ…」


 家の玄関が見えた…けど帰る気が起きない。

 目が滲んで玄関が遠いなと思ったら視界に男の人がいた…パッと見ると半グレじゃないかという眼つきの鋭い人がジャージ姿でこちらを見ていた。


「君、郡御冷さんの幼馴染、新谷君かい?」


「そっすけど。」


 一回あったな、この手の話。

 御冷が読者モデルに誘われたか何かで俺の関係を探られた…付き合ってねーのにな。

 今更…それに落ち込んでるから怖い人とは喋りたくないな…


 しかし、スカウトマンや怖い大人とは違った。

 

「本当にすまなかった!この通り!本当に申し訳ない!2人に迷惑をかけた…と思う…」


 いきなりすごい角度のおじぎをして名刺を渡して来た。

『NTR探偵社:室長 根多 博之』


 NTR探偵社?NTRって何?


「とゆー訳で、事務所に来てもらえないだろうか?」


 えぇ!?結局怖い人じゃん!?

 

 

 

 

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