探偵side♯1 三者三様、解決編に向けて…一歩も進んでない

 ※タツ視点


 『お前、頭おかしいんじゃないか?』


 心からそう思う瞬間、皆さんありますか?

 私は伝えたい、一般市民に。善良な無辜の民に。


 私はスマホをポチポチしながら、大興奮で身振り手振りしている小娘の話を聞いていた…スマホ見ながら聞くのはやめろとヒロに言われたが、だって余りにも話が馬鹿げているからだ。

 良く犬が自分の尻尾を追いかけてグルグル回る話があるがそれ以下、エアーマウンティングする犬、チンチンしてチンチン振ってその場で…カクカクカク


 性欲が穴という穴から漏れ出している馬鹿。

 後、名前が氷?お冷?喫茶店か、キサマ。

 コイツは貴重な学生時代の消費の仕方が凄い。


 ちょうど私が見ていたのは冴えない男とクラスアイドルが何か色々あって何故かバスケ青春ドラマになる小説を見ていた。

 でもまぁ良い青春だよ、青春、良いよね。


 コメント欄には『やっぱ、アオハルだよな』とか書いてあって、私もロッカーホテルとか、普通のアオハルあったなぁ…とか思っていた矢先にこの女の変態馬鹿話。性春、つまり…盛った馬鹿。


『あたすぅ なおにゃんと えっつ♥すたいぃー』


 師ね…いや、言い過ぎた。探偵するよ、私。

 まぁ、コレつまりすれ違いだな、もうそれで行こう。

 

 クソスライム先輩という自分の脳内では純愛だと思っていても世間とインモラルがすれ違い、R18と判断される小説を何回も消される馬鹿がいるんだが…その先輩と同じ、普段、すました態度取ってる奴は急にエロい事を勢い良く喋り始めると唾を飛ばす、これあるある。

 

 コイツ…頭は問題があるが顔は多分良いんだろう、スタイルも良さげだ。自分でそれなりにモテるとかナメた事をぬかしたがまぁそうなんだろう。


 『と!ゆーわけなんですよぉっ!ハァ…ハァ』


 やっと終わった…とりあえず良くわからないがカクカクの知識を総動員した結果、要は気を引こうとして他の男に手を出したフリしたらマジで嫌われた…と。


 馬鹿か?


 すると事務員役の変態眼鏡が喋り始めた…


 この眼鏡、私の彼氏のヒロ室長を、私からNTRを狙っている本物クレイジーだ。

 ネトリじゃなくてセドリでもしてろと思う。

 しかも洗脳が得意とか心が読めるとか言うが、読まれた事無いし、貴女のが見えないだけとか言う詐欺師の常套句を抜かす外道だ。

 頭の弱い女子高生を使い下着を売るビジネスでも始めるつもりだろうか?



※イクエ視点


 ダルいわ、本当にダルい…ネタキュンシュと同じ大学に入って藤原さんという息してるトーテムポールを引き離したのに、不知火の左遷先に回されて同じ組織に入るなんて…確かに明確な戦争が無くなったから私の仕事は減ったけど…てゆーか組織全体が私を追いやろうとしているわ…見えてるから…考えている事…


 確かにネタキュルセイダースというネタキュンシュ(ヒロ)の為に生き、死ぬ組織を作ろうとして部下から『誰ですか?知らない人の為に命をかけるのはちょっと…』とか言うし、ネタキュンシュも『そんなもの作ったら物置に監禁するからな』とか言うから頓挫するし…私は監禁でも良いんですけどねー♥


 そして目の前にいる女子高生、昔虐められてたのを免罪符にやりたい放題。


―――アマデウス…どう?この子は?―――


―――イクエ…この子現代的にはヤバいわね…いつも通りタグで送るね―――


 私はアマデウスというもう一人の私がいる。

 二重人格という訳ではなく、イメージとしては妖精が頭にいるような、そんな感じ。

 彼女が私の脳内にタグを転送する‥

 

『新谷直太』『舐め回し』『床上手』『無茶苦茶にされたい』『エロ』『同人誌』『触手』『エナジ―ドレイン』『強制変身解除』『変身』


 心を覗くともう真っ黒も真っ黒、ヘドロだわね、この女。

 終わってるわね…いや、自分を棚に上げる訳じゃないけど私の相手、ネタキュンシュはどれも得意種目だからいいけど(持論)…普通の男子高校生にコレは無いわね。


 そもそも普通にしてるだけで付き合えるでしょ?

 

 何か発言とか発想が藤原さんに似てるからもしかしたら攻略のヒントになるかも知れないわね。

 

 フーム、フムフム…何か藤原さんが『変身ヒロインで有耶無耶』みたいな、崖に繋がってるけど速度制限の無い国道みたいな道を示しているけど…


 そうか、無いなら作ろうネタキュン幕府。

 コイツを兵隊にしよう。何か根切ちゃんとか双子とか勝手にネタキュンシュの配下になってたし…これで行こう。

 色々重ねると一石4丁ぐらいになるわね。


「そうね!変身ヒロインでいきましょう!それと藤原さんは…」


 話を無理矢理終わらせる。後、本当は藤原さんが今から殺される設定にしておいたら勝手に失神した。


 この生き物は2つの事を同時に考えられない。

 例えば仕事、パソコンの入力作業をさせながら窓から飛び降りろって指示すると多分キーボードを打ちながら落ちる。


 私は死んでも一定時間で蘇生できるけど、藤原さんにはよく思いつきで殺される、死ぬのって気分が良くないのよね、まぁざまぁってやつね。

 だからついでに藤原さんのメンタルを破壊しておく、馬鹿で一定時間経つと忘れるし特に意味はないけども。

 正直、馬鹿のくせに何か女子高生にマウントを取っているのを見てイラッとしただけ。


 しかし変身ヒロインか…早速、獅子川か千代あたりに連絡しとくか…棺だと怒るから黙っとこう。



※ヒロ室長視点(根多博之 ネタキュンシュ)


 変身ヒロインってなんだよ…こんなのどう止めろって言うんだ?


 通っている古武術道場のよしみで知り合った凄い権力者の白座さんという先輩に言われた。


『ヒロ、あの2人(タツとイクエ)は無理だ、コントロール出来ない。皆が俺に良かれと思って色々してくれるみたいだが、あの2人の【良かれ】は駄目だ、狂ってる。お前しか無理だ、大丈夫、将来は何とかするから』


 それ、俺に対しても狂ってる場合どうすれば良いんでしょうか?

 後、将来はってタツにも同じこと言って、エロゲ会社に突っ込んだ挙げ句放逐してるじゃないっすか…



 そう。俺は今、19歳で…探偵社の室長をしている…何故だ?

 従業員は同級生、3年間同じクラスだった2人…一人は幼馴染で巨大熊女、今は恋人のタツ。

 もう一人は数少ない、女だけど学級委員で親友と言える間柄変態コスプレ女…イクエ。

 高校3年間で脳味噌が行く所まで行ってしまった2人。

 しかも俺にせいにする2人…コイツ等と探偵とか…


 そして類は友を呼ぶらしい。

 タツの受けた依頼、その依頼主の女子高生がまた凄い…そもそもNTR相談って何するんだ?

 発覚してる時点で終わりで第三者のやれる事はほぼないと思うが…

 しかし流石タツの連れてくる依頼者は、好きな人を理想の間男に出来なかった等と意味不明な供述をしている。



 とりあえず変身ヒロインコスチュームを用意する為に俺を嵌めた白座さんの奥さん、この人こそ道場の先輩であり、天文学的な金持ちの家の末娘であり、謎の対魔忍風スーツと媚薬を大量生産しているキチ…ババ…聡明な美魔女・定満千代さんの所に行った。

 場所は千代さんが経営している場末のスナック、千代亭である。



『棺は!?ダイヤルッ!回して!てをとめぇたぁッッッ!?』


『いや、千代よ、私は孫一様に電話する手を止めないが?…』


『はっ!?お前、恋に落ちてんだろ?愛人なら止めろよ!?そして本妻の為に土日の孫一を空けろや?なに、土日に進出してきてんの?』


『いや、孫一様は平日休みが多いが?…だから土日の仕事帰りを貰っても問題無いと思うが?…』

『カアァッ!?コイツっ!』


 ちなみに白座さんには、公式の愛人がいる…2人も…この乱れた世界に関わりたくない。

 今、目の前で本妻の千代さんと、国家予算並の軍事費を動かせる民間軍事会社とやらを経営する愛人の棺さんが2人でマイクを持って揉めている。


「フハハ、雑魚共、オレの話を聞けい!」


 タツが割って入った…タツは内輪と自分が弟子と認定(勝手に)した相手には強気だ。

 

 雑魚と言われくるりと振り返る、棺さんは真顔だが千代さんはキレてる。


「タツ、アンタ出禁って意味、分かってる?アンタは出禁だよ…どうせ酒も飲めないし…」


「出勤禁止!最高の待遇ですね!在宅勤務仕事無し!」


「クソ馬鹿がっ…」


 この通り、2人揃うと話が全く進まない。

 そして後ろを振り返るとイクエがいない…棺さんがマイクを下ろして話しかけてきた。


「根多、イクエはどうした?元気か?いつも一緒にいるのに珍しいな?まぁ私は一緒にいるのを見た事無いが…見てみたいものだがな、アイツが女でいる所を…」


「いや、棺さんがいるのを知って逃げました。いつも通りです。後、俺の彼女はそこでイキっているタツですよ」


 イクエちゃんは俺と一緒にいるのを棺さんに見られたく無いらしい。

 何でか、兄妹に彼氏といるのを見られたくない女心らしい…彼氏ジャネーし意味わかんね…だから俺はチクる。


「またかアイツ…しかし根多、そう言うな。いつの世も魅力的な男に女は惹かれ、そこに優先順位など些細な事、それが世の習わしだ。まぁ良い、何か用事があって来たんだろ?」


「お前、男だろ?孫一の土日を取るんじゃねーよ」

「ヒロに訳の分からん爛れた関係を勧めないで頂きたい」


 馬鹿2人が即否定した。まぁ、確かにアンタ達の馬鹿みたいなルールを人に当て嵌めないで欲しいが…話しが進まないので要件だけ伝えよう。


 「今、訳分からない探偵事務所をやってるんですが、その関係で、変身ヒロインとやらを用意しなければいけなくなったので、変身道具を頂きに参りました」


「あー…じゃあ獅子川に言っとくよ。何か要望は?」


「はい、とりあえず死なれたら困るので死なないようにしてもらえればと思いますが…」


 ワイングラスを傾けながら「死なれたら困るな」と妖艶に笑う。

 ちよさんに似たメッチャ美人…これで男だから世の中意味分かんねーよなぁ…


「フフッ分かった分かった…一般人だったら棺の国の最新技術も載せようか?今、そういうテストモデルをやってるんだ。一般人でどこまで強くなれるかってやつだな」


「請求書に1兆七千億円とか書く人にお願いしたくないですよ…」


「アレはそこで千代と揉めてる化物に試しただけだよ(笑)お前にはしないよ」


 以前、タツと棺さんが戦った事がある…が、余りに酷い話だった。

 色々と戦う理由があったが、タツの余りの馬鹿さと生き恥を晒した事でどうでも良くなったそうだ。

 試しに請求書送ってみたら土下座しかねない勢いできたからそれはそれでビビったらしい。


 まぁまぁ、それはともかくその変身ヒロインスーツが新たな問題を生むとは思わなかった。

 それにしてもタツとちよせんぱいの会話っていつも下品だな…


「さっさと作ってくれクソスライム先輩よ。やっぱ現代人ならスマホと連携すべき何だよ、時代はスマホだよ」


「タツ、お前簡単に言うけど獅子川と棺っていつもスーツというか装備一式作る時は億単位の話してるぞ?戦闘機と同じぐらいの技術が…」


「そんな訳無い、だって俺の対魔忍スーツのコス、ホームセンターで売ってた着圧タイツだったよ。脅すなよクソスライム…」


「いや、お前のは2着目から私が百均で集めただけだよ…意味無いから…お前は自分のも人のもすぐ壊すから…」


「ハァ?人のせいに…しないでもらえませんかね?」

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