ラスト・クロック

桜花 御心都

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 至極当然のことであるが人間は寿命が尽きれば死ぬ。人間に限らず、犬も猫もどんな動物も、木も花もどんな植物も、いずれ死ぬ。生きとし生けるもの死は確定しているのだ。

 なのに、いつ死ぬかわからないことに恐怖を感じる人間が一定数いる。また、自ら死を選ぶ人間もいる。私はそんな人間が理解できなかった。なぜ、死ぬことに怯えるのだろうか。なぜ、自ら死を選ぶのか。確定している運命に怯える必要も、わざわざ早める必要もないのに。どうせ死ぬならやれることをやろうと。精一杯生きようと、なぜ、そう思わないのか。悩みに悩んだ結果、私は一つの仮説を立てた。


 死ぬまでの時間がわからないからこうなっているのではないか。


 だから私は人間の頭の上に、死ぬまでの時間を表示することにした。こうすれば0になるまで頑張ろうとするだろうし、無駄に死ぬことはなくなる。決まった運命を表示するというこれまでやってこなかった試みだ。どうなるかわからないが、生きようとする人間が増えることを期待したい。

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