第7話 帝国騎士隊長として

 しかしながらここ数年で魔力資源が枯渇し始めて来たバルシャワ帝国にとって数百年に渡り魔力を垂れ流し続けている天空城に眠っているであろう魔力資源の埋蔵量を考えると最低でも百年間の安寧と魔力供給の安定は確かなものとなる。


 そもそもバルシャワ帝国帝都が作られたこの地域一帯はもともと魔力資源及び空気中の魔力量も少ない地域であり、そのような地域で天空城が浮かんでいるここ帝都付近だけが、空気中の魔力量は他国その他地域を比べても頭一つ以上濃い濃度であったため、初代皇帝陛下並びに我ら帝国民のご先祖様達はこの地を帝都へと発展させ、天空城から溢れ出ている魔力によって魔術やマジックアイテム等が急激に発展、今の大帝国へと成ったのである。


 それは見方を変えれば、発展すればするほど、戦争をして国土を増やせば増やすほど必要となる魔力資源の総量は増えるという事でもある。


 そしてここ数年で魔力資源、その中でも特に魔石を取りつくしてしまった今、我々は難攻不落と語り継がれてきた天空城の攻略を開始したという事である。


 天空城から溢れ出る魔力を吸収して出来たであろう大量の魔石。


 その事を考えれば魔石が生まれる原因である空気中の高濃度魔力を作り出している天空城、そこにあるであろう魔石。


 それは地上で取れる魔石などよりも比べ物にならないくらい良質である事は容易に想像がつく。


 それこそ天空城にある魔石だけで世界を手にしても使い切れない程の高い質と量の魔石が眠っていると言われても驚きはしない。


「さて、どうしたものか」

「何難しい顔してんのさ、アイク隊長。 もともと無理で当たり前と言われているんだ。長期戦覚悟で挑んでいるだから初日からそんなに思い詰めていると早いうちに限界が来ちまうぞ」

「ホークか……。 そうはいっても魔力資源が枯渇しかけている影響は小さいながらも確かに我が帝国民の国民、特に貧しい者達から如実に表れていいるんだ。 一日でもそれらが解決できるのであれば────」

「────そこまで。 ホークの言っている通りアイク隊長は考えすぎですし一人で背負い過ぎです。 帝国民が心配である事も分かりますが、まずは帝国騎士隊長として目の前の帝国騎士の団員の事を思って頂ければ幸いです」

「スイ、お前まで……。 それもそうだな、お前たちの言う通りだ。 これではできる事も出来なくなってしまいかねない」


 そして俺がどうしたものかと悩んでいると帝国一の巨躯と力がある大剣使いの副隊長ホークと、水属性剣使いの中では帝国どころかこの世界でこいつに勝てる者など想像もできない剣技を持つスイが声をかけてくれる。

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