おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis@デレバレ三巻発売中

第1話 if

 あぁ、私こと高柳美里、四十路の人生はここで終わるのか。


 思えばこれと言ってパッとしない人生であったと思う。


 本気で打ち込めたものと言えばフルダイブ型VRMMORPGぐらいであろうか。


 その中でも【竜と指輪と冒険ドラゴンリングファンタジー】というゲームに嵌り、自由な時間と自由に使えるお金、その殆どをつぎ込んだと言っても過言ではない。


 そしてこの竜と指輪と冒険ドラゴンリングファンタジーなのだがゲーム名がありきたりである所からも分かるようにフルダイブ型VRMMORPGにおいてサービス開始が最も早かったゲームの一つでありサービス開始時にリリースされたもので唯一生き残ったゲームでもある。


 その理由にこのゲームの自由度や楽しみ方の幅がとんでもなく広いというのが一番の要因であろう。


 その為ならばグラフィック等二の次だという開発陣から見てもいかにその部分を拘って作っているのかが分かるというものである。


 だからこそ私はこのゲームに魅了され、ハマったのだ。


 学生時代も社会人時代も、このゲームと出会うまでは会社又は学校へ行き、帰り、ご飯を食べ、テレビやネットを見て寝る。


 不満は無かったが、息苦しくもあった。


 特に社会人になってからは『もし部活動に入っていれば私もこのアニメや映画の様な青春を過ごせたのかな?』『もしあの時告白をしていればアニメや映画とまではいかないまでもそれに近い恋愛をできたのかな?』もしあの時、もしあの時、もしもしもしififififif。


 何かするたびにifを考えてしまう様になった。


 それはまるで酸素濃度が低い高地で暮らしているかのようにすら錯覚してしまう程に、少しだけ毎日が息苦しかった。


 何もしなければ、問題ないが運動をすればするほど身体に悪い変化が訪れる。


 だから私はただ、毎日同じ日常を繰り返す日々を消化していた。


 やっておけば良かったと後悔するくらいなら何もしない方が良い。


 そんな私でも持っている唯一の趣味がゲームである。


 ゲームが趣味と言っても、獣の森の様なスローライフな世界観のゲームをプレイするくらいで、課金額も月々数万円の貯金と生活費以外の余った金額をつぎ込んでいるくらいなので、ガチ勢等と呼ばれるような人達や生活が困窮するまでに課金してしまう人達からすれば『その程度で趣味とは言わない』『その程度で本気とは言えない』と言われるだろう事は理解している。


 それでも、誰が何と言おうとも私にとっては立派な趣味であり本気なのだ。


 そんな生活をしているときに私はフルダイブ型VRMMORPG竜と指輪と冒険ドラゴンリングファンタジーと出会った。


 商品説明に『農地開拓』『建国して国経営』『友達と楽しくゲーム内を旅行』等と言った謳い文句に心惹かれて購入を決めたのだが、私にとってこの判断はまさに正解であった。

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