第2話 見間違う筈が無い
このゲームをプレして、私は確信する。
このゲームであれば、サービス開始したばかりかつ自由度がどのゲームよりも高いと宣伝しているこのゲームであれば、今までできなかったifをやり直せるのではないか?と。
それから約十年間たった今現在飽きずにいられているのだから私の判断は間違っていなかったのだろう。
あぁ、今度生まれ変わる事ができるのならばやらず後悔よりもやって後悔する人生を歩んでみたい。
そう思いながら、猛スピードで迫りくる車、その車に乗っている泡吹いて白目をむいてる男性を見ながら、私は走馬灯のように今までの人生を振り返るのであった。
◆
「んっ………」
まるで今まで夢を見ていたような、しかしながら夢というにはやけに長く、そしてリアルだったようなそんな感覚の中、私は意識を少しずつ覚醒させていく。
「生きてた………?」
絶対死んだと思っていた私は、今生きて、意識を保っている事がなんだか不思議な感覚だ。
しかしながら、あれ程猛スピードで車に体当たりをされたのだ。
もしかしたら元の身体とはかけ離れている可能性だって考えられるのだが、生きていればまた
そう思えるだけでなんだか気力が湧いてくる。
足の感覚は……ある。
指の感覚は……ある。
手足を動かせる、一安心。
そして私は完全に意識を覚醒させて、意を決して身体を起こす事にした。
「どこ………ここ?」
いや、見覚えがある。
今私がいるこの場所は───
「天空城アマテラス………ゲームの世界? 何で? 私、死んだ筈じゃ………ゲームしながら寝落ちしてたとか?」
だとすれば嫌にリアルな夢であるし、今見える物もゲームにしては嫌にリアルすぎる。
一度死んでゲームと似た世界へ転生したと思った方がしっくりくる、そんな感じだ。
「我が主、良くお目覚めになられました」
「………へ?」
そして私の直ぐ隣で、耳障りのの良すぎる、低くそして色気のある声音で私に目覚めの挨拶をした後
そんなバカな。
見間違う筈が無い。
この美男子は私が一番初めに作り上げたキャラクターなのだから。
そう思うものの目の前の
髪は黒髪でモノクルを使用しており、その佇まいは美しく、まるでできる若いやり手の執事であるかのように見える。
ただ唯一、頭から生えている二本の黒くねじれた角だけが彼の事を『人間ではない何か』であるという事をこれでもかと主張してきている通り、彼は人間ではない。
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