第4話 三百年
そしてわたしの独り言を聞いたイプシロンが胸をはって自慢げに語っているところ申し訳ないのだが、今はゲームより現実世界の事が最優先事項である。
何故ならば現実世界の仕事を首になると課金が出来なくなるからであるっ!!
そして私はイプシロンへ心の中で謝罪をしながらログアウトしようとして────
「できない……っ!?」
「ど、どうしましたかっ!?我が主っ!!敵ですかっ!?敵ならばこの我が爪と牙で────」
「ログアウトできないっ!!!!!!」
あえて気付かないふりをしていた。
現実逃避をしていた。
どこか他人事のように感じていた。
どう考えてもゲームにしてはリアルすぎるでしょう。
触感がある?匂いを感じる?キャラクターがまるで意志を持つかの様に喋り動く?そもそもこの目に見える映像のデータ量からして現実的ではない。
「もしかしなくても、ゲームのキャラクター達と異世界転移してしまっている?」
そう考えた方が全てにおいてびっくりするほどしっくりくる。
あぁ。どうしよう。
どうしようどうしようどうしようどうしようっ!!
胸の高鳴りを抑えきれないっ!!
そして私は決意する。
異世界では今度こそ後悔はしないように生きていくと。
◆
十二星獣とその他元NPCキャラクターは皆落ち着きが無く、そわそわしていた。
何故ならばイプシロンから「我らが皇女様がお目覚めになられた。これより皇女様による演説が三時間後に行われる。皆皇女様の演説に備えてくるように」と言われれば誰だって落ち着きは無くなるだろう。
皇女さまのご尊顔、そのお声をお聞きできるのはいつぶりであろうか。
私がまだ小さかった頃の話である為もう三百年以上昔の話である。
「ままっ!!こうじょさまにあえるのっ!?」
三百年である。
子どもだった私が母親になるくらいには時間は流れている。
その事からもここ天空城では皇女様の事を言葉でしかしらない者達もここ最近増えてきている。
それだけの年月、それが三百年という時の長さである。
これだけの年限が経つと周りからちらほらと皇女様はもう目覚めないのかもしれないという声が聞こえて来る。
不敬であるとは思うものの、そう思ってしまう気持ちも分かてしまう程には皇女様が眠り続けていたという事でもある。
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