第9話 そこらへんは察して欲しい
しかしながら、私自身人間を辞めている可能性が無い訳ではないのだが、だからと言って自分の命と引き換えに実験をするほど私の肝は座っていない。
そもそも、それを試す事ができる程の度胸や肝が座っているのならば今までの人生を振り返った時『やっておけばよかった』などという後悔で苦しむ事等無かったはずである。
それに私は四十を超えている身。
体力的にも何かとキツイ年齢なのだからそこらへんは察して欲しい。
この世界に来てかやたら二十代頃の如く身体の調子が良いのだが、きっとストレスでバカになっているだけであろう。
こういう時は決まって明後日または明々後日あたりに一気に、時限爆弾の如くその日無理した代償をもろに喰らうのだから大人しくしているのが吉である。
話を戻すとして、NPCキャラクターの強さと私が人間であるという事を踏まえて考えるのならば私がやる事は一つ。
彼ら彼女達の守るべき存在としてあり続ける事。
これに尽きる。
そして今現在NPCキャラクターもとい私の子供達は、幸いにも私の事をゲームと同じ設定である、この天空城という国のトップである女皇帝であると思っている。
ならば私は今の立場を崩さずに生活するというのが目下最上位課題であると判断する。
そして私は少しでも高貴かつ威厳かついと尊き人物であると見える様に今現在、しゃなりしゃなりと清楚ぶりながら歩きながら、メイド達に自分の部屋へと案内してもらう。
「ありがとう。ここまでくればもう大丈夫ですから、あなたたちも疲れているでしょうからやすんでらっしゃいな」
どこのマダムだよと自分の言葉使いに自分自身が引きながらもメイド達をこの部屋から出て行くように、もとい休むように指示を出す。
一人の時間が欲しいというのもあるのだが、裏で『あのクソババァ休憩の一つもくれしないとかドブラックかよクソが』だとか言われてしまわれては目も当てられない。
少しでも不平不満が出ないように今日から超絶ホワイト企業の様な職場を目指すのだ。
小さな不満も積もり積もれば積年の恨みへと変わるものであるという事は今までの社会経験上嫌と言う程理解させられているのだから尚更である。
と、いう訳で『やる気ありますっ!!』とアピールする出世欲の塊の様な新入社員のように「まだお傍で仕えていたい」と懇願するメイド達を強引に自室から追い出し扉を閉めると、無駄に大きく、無駄に高そうなベッドへとそのままダイブする。
鬼の様に疲れた……もう脳みそがオーバーヒートしそう……。
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