第7話 剣の修行②

「くっ……!」


俺はなんとか、エリンの剣を受け止める。

腕がブルブル震える。


——キンキンキン!


エリンは容赦なく打ち込んでくる。


「一度も剣を握ったことがない兄さんが、エリンの剣を受け止めるなんて……」


ヤマトがとても驚いている。


本当の俺、ランス・ゴッドフリードは、下級とは言え貴族だった。

だから一応、剣術も習っていた。


「はあはあ……初めてしてはよくやりますね」

「すごい!兄さんは剣の才能があるよ!」


前世の経験が役に立っている。

いやいやだったけど、ちゃんとやっておいてよかった。


「アスラン様を見くびっておりました。手加減なしで行きますね」

「え?」


——シュン!


エリンが消えた。

いったいどこに行った……?


「兄さん!上だ!」


ヤマトが空を指した。


——キーン!


「ぐぐっ……!」


空から剣を振り下ろしてきた。

ヤマトのおかげで、なんとか受け止められた。


「ヤマト様!アスラン様を助けないでください!」

「あ、ごめん……ついつい」


ヤマトはエリンに謝る。

さっきヤマトに助けてもらわなかったら、俺はエリンの剣で真っ二つにされていた。


——キンキンキン!キンキンキン!


凄まじい剣圧だ。

腕がめっちゃくちゃ痛い。

とても女の子とは思えない力だ。


「スキあり!」

「ぐふっ!」


腹に蹴りが入った。

俺は吹っ飛ばされて倒れる。


「うっ……痛え……」

「アスラン様。あなたの負けです」


エリンは剣の切っ先を、俺の喉元に突きつけた。


「ああ……俺の負けだ」

「アスラン様のお腹は蹴りが心地がよかったですわ。ずいぶんと弛んだ、王族にあるまじき生活を送ってきたようですね」


ふふんっと、エリンは鼻で笑った。


「……もう一度だ」


いくら豚のアスランでも、男の子だ。

女の子に負けぱっなしというわけにはいかない。

それに、少しでも早く強くなりたい。


「兄さん……大丈夫?」


ヤマトが心配してくれた。

本当に兄思いの良い弟だ。


「わかりました。今日は徹底的に、アスラン様を叩き直してあげましょう」




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