第15話 無限強化

「でも、この鋼の剣には何もしていないのだが」


鍛冶屋で鍛えてもいないし、強化魔法をかけてもいない。

この鋼の剣は、本当にただの鋼の剣のはずだ。


「ヘルファイア様のスキルのせいです。グインランドの王族に代々伝わるユニークスキル【無限強化】です」

「む、無限強化……無限に武器の強化値が上がるってことか?」

「その通りです。自分が使った武器を使えば使うほど強くすることができます」


この鋼の剣は、エリンとの剣の稽古で使っていた。

毎日、振っていた剣だから知らないうちに強化されていたようだ。

限界まで強化された剣で切ったから、レベル3の俺がオークを倒せたってことか。

魔物と戦ったことで、スキルが発現したのだろう。


「そんなすごいスキルを持った方なら、ぜひ当ギルドに登録してください」


俺とフレイアの会話を聞いていたリーリエさんが、割って入ってきた。

グインランドには大きなギルドが他に4つもある。

別にこのギルドにこだわる必要はない。


「お願いします!最近、当ギルドは高ランクの冒険者が他のギルドに取られてしまっていて……ヘルファイア様のような強い冒険者が必要なのです」

「いやいや、俺はまだFランク冒険者なのだが」


リーリエさんはさっき俺の不正を疑った。

証拠もなく、俺が不正をやったと決めつけた。

俺も人間だから、忘れたわけではない。

だが、今の俺は王族の1人だ。

国民の過ちに、寛大にならないといけない。


「わかった。このギルドに登録するよ。これからよろしくな。リーリエさん」

「ありがとうございます!ヘルファイア様は即戦力です。さっそくやってほしい依頼があります」

「どんな依頼だ?」

「ミスリル鉱山の奪還です」

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