第9話 豚は痩せていく

「アスラン様。最近、痩せましたね」


サーシャさんがコートをかけながら言った。


「あ、この服もサイズが合いません」


エリスと毎日剣の稽古しているから、少しずつ痩せ始めてきた。

剣の腕も上がってきた。


「アスラン様ぁー!」

「おわ!」


ミアが俺の胸は飛び込んできた。


「あしゅらんさまぁ……ミアは寂しいのです。最近は剣のお稽古ばかりで、全然構ってくれません」

「悪いな」

「今日はミアと一緒に遊びましょう!」


たしかに最近は、昼間はずっと剣の稽古で、夜は身体を鍛えていた。

少しでも早く痩せるためだが、頑張りすぎているかもしれない。

たまに息抜きにミアと遊ぶのもいいな。


「よし!外で遊ぼう!」

「やったー!アスラン様大好き♡」


◇◇◇


城の中庭に出てきた。

赤や白の薔薇が、咲き乱れている。

さすが王族の庭園、美しい景色だ。


「きれいなお庭ですねー」


ミアは嬉しそうにはしゃぐ。 


「あれは誰だ?」


庭園の真ん中で、女の子が踊っていた。

くるくると、まるで妖精みたいに。

すげえかわいい子だ……


「え、ご存じないんですか?あの方は、その……」


ミアはすごく言いにくそうにしている。


「レティシア姫か」

「そうです……」


レティシア・ヴォルドーフ。

アスランと婚約破棄した、隣国のお姫様だ。

隣国のヴォルドーフ王国は、貴族たちのクーデターがああって、レティシアはこの国に逃げてきた。

そのせいで立場が弱く、豚のアスランと結婚させられそうになるが、毅然と婚約破棄を宣言した。

それでアスランの恨みを買い、アスランに強姦される。


小説でアスランは、ヴォルドーフ王家から支援を受けられなくなり、追い詰められる。


ミアが言いにくそうにしたのは、婚約破棄があったからだ。

レティシアには接触しないほうが良さそうだ。


「アスラン様!」


レティシアが声をかけてきた。



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