下級貴族の俺が、豚暴君に転生するなんて〜このままだと革命によって処刑されてしまうので、回避するために頑張った結果、隣国の王女様に愛されて人生大逆転です〜

水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴

第1話 豚暴君に転生

「はっ……ここは……?」


目覚めると、知らない部屋のベッドで寝ていた。

いつものベッドと違う。

すごくフカフカの高級なベッドだ。


「おはようございます。アスラン様」


知らないメイドさんが、俺の側に立っていた。


「アスラン……?」


聞いたことがある名前だ。

俺の大好きな小説『グインランド・サーガ』に出てくる悪役の名前だ。

アスランは、民衆を虐げる醜悪な暴君だ。

最後は「聖剣の姫騎士」に断罪され処刑される。


「おい。俺の名前はランスだぞ。あんたは新入りか?主人の名前を間違うなんてどういう……」

「も、申し訳ございません!」


知らないメイドさんは、いきなり土下座した。

額を床にこすりつける。


「申し訳ございません!どうかお慈悲を!」


俺は驚いて、ベッドから起き上がった。

まったく知らない部屋だ。

やけに豪華な部屋で、これはまるで王様の部屋だ。


「いやいや、そんなに謝らなくていいよ。ところでここはどこなんだ?俺の部屋じゃないようなんだが」

「あの、その、も、申し訳ございません!」


メイドさんは震えながら、さらに強く額を床にこすりつける。

とてもまともな話ができそうにない。


とりあえず、外はどうなっているのか。

俺は窓を見た。


「うわああああああああああああああ!!」


窓に映っていたのは、豚だ。

たるみきったブヨブヨの顔。

でっぷりと出ている腹。

ハゲた頭と、抜けた歯。


これは、俺じゃない……

この醜い男は、『グインランド・サーガ』の豚暴君、アスラン・ヘルファイア。

小説の挿絵にあった姿とそっくりだ。


本当は俺は、ランス・ゴッドフリード。

田舎の下級貴族の三男だ。

どうせ領地も継げないからと、自由気ままに暮らしていた。

昨日、大好きな小説『グインランド・サーガ』をベッド読みながら寝落ちしたのは覚えている。

……どうやら俺は、『グインランド・サーガ』の世界にいるらしい。


ヤバい。このままじゃ死ぬ。

破滅確定の未来だ……


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