第12話 ギルド登録試験part2

女の子の悲鳴……!


俺は走って、声のした場所へ向う。


「きゃああああ!」


女の子がオークに襲われていた。

オークは、Cランクの魔物だ。

本来なら、迷いの森にはいないはずのに……


「ぐぶううう……」


オークは涎を垂らしながら、俺を睨みつける。 

今の俺が勝てる相手ではないかもしれない。

ただ……女の子を見捨てるわけにはいかなった。


「さあ来い!俺が相手だ!」 

「ぐぎゃあああああああ!」


オークが俺に襲いかかって来た。


「スラッシュ!」


俺の剣が白く輝く。

オークの腹を目がけて、剣を振る。

腹がざっくり裂けた。


「ぎゃあああああああ!」


醜い断末魔の後、オークは倒れた。


……どうしてだ?

まだレベル3の俺が、Cランクの魔物を一撃で倒すなんて。

よくわからないが、とにかく勝ってよかった。


「きみ、大丈夫?」


俺は女の子に声をかけた。


「はい……」


女の子はフードを取る。

長い耳がかわいい。

どうやらエルフの女の子のようだ。


「私はフレイヤと言います。助けていただいてありがとうございます」

「無事でよかった」


エルフの女の子——名前はフレイヤ。

話によると、薬草を取りに来ていたらしい。

途中でオークに襲われたようだ。


「ヘルファイア様は、どうしてこの森に?」

「俺は……あ、ヤバい!ゴブリンを倒さないと!」


ギルド登録試験の最中だった。

すっかり忘れていたぜ……


もう夕暮れだ。

森がオレンジ色に染まっている。

タイムアップだ。


「クソ!試験に落ちた……」


◇◇◇


俺はギルドへ帰った。


「お疲れさまです。ゴブリンを10匹倒せましたか?証拠の魔石を見せてください」

「ゴブリンは倒せなかった……」

「そうですか……残念ですが、ヘルファイア様は不合格となります」


受付のリーリエさんがガッカリした。


≪やっぱり豚は豚だな≫

≪王族のくせにダサぇ!≫

≪死ねばよかったのに≫


冒険者たちのひどい悪口が、耳に入ってくる。

せっかく国民の好感度を上げるチャンスだったのに。


「あれ?ヘルファイア様、その大きな魔石は?」

「これか?オークを倒して手に入れたのだが」

「お、オークを倒した……?」




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