第11話 ギルド登録試験part1

「冒険者登録書に記入してください」


受付の女の子から紙とペンを渡された。


ここは王都にあるギルドの受付だ。

剣舞大会に出場することになった俺は、レベリングする必要があった。

いくら勝つ気がなくても、初戦で敗退しては王家の恥。

そこそこのところまでは勝ちたい。

それに、剣舞大会に出場する貴族や騎士は、腕利きの冒険者ばかりだ。

俺も冒険者になって、もっと強くならないといけない。


「書けました」


俺は受付の女の子に冒険者登録書を渡す。


「お名前は……あ、アスラン・ヘルファイア様!」


受付の女の子が叫んだ。


≪マジかよ。あの豚が冒険者に?≫

≪もっと醜い奴だと思っていた≫

≪けっこうカッコいいじゃない……≫


アスランは国民の間で評判最悪だった。

たまに国民の前に出ると、トマトを投げつけられる。

せっかく痩せて健康になったから、これからは国民の前に出て、もっも好感度を上げていこう。


「……ギルドの冒険者になるには、登録試験を受けていただきます」

「どんな試験だ?」

「こちらへどうぞ」


受付の女の子——名札にはリーリエと書いている。耳が長いからエルフだ。

リーリエさんに案内されて、俺はギルドの外へ出た。


「あそこに森があります。森でゴブリンを10匹倒して、ドロップした魔石を集めてください。それが登録試験になります」


リーリエさんが指差したのは、王都の周囲に広がるに迷いの森だ。

迷いの森は、低ランクの魔物しかいないから、初心者ひはうってつけのダンジョンになる。


「わかった……ゴブリンを倒せばいいんだな」

「制限時間は日が暮れるまでです……スタート!」


俺は迷いの森へ足を踏み入れる。

戦う前にステータスを見ておこう。

さっきギルドでもらったラーの手鏡を使う。

鏡に映った人間のステータスが表示される魔道具だ。


アスラン・ヘルファイア


レベル3

体力32

攻撃25

防御13

俊敏20

魔力18


スキル

スラッシュ(小)


俺のレベル3か……

剣舞大会で勝つには、最低でもレベル30は必要だ。

スラッシュ(小)は、剣の修行のおかげて手に入れたスキルだ。

ゴブリン程度なら一撃で倒せるだろう。

どんどんレベリングしないと剣舞大会に間に合わないな……


「きゃああああああああ!」



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