第16話
「すみません…」
「え?謝らないでください。私表情に出すの苦手で…」
「……」
無言で紅茶と料理を頂く。解ってる、悪気のない言葉だって。
だめだめ、ちゃんと笑顔にならなきゃ。
もう、大人なんだよ。切り替えないと。
口元を拭き彼女の目を見て手を合わせてご馳走様をした。
立ち上がろうと椅子を引き足元に置いてたバックを持つ。
その時微かに彼女の吐息が漏れた。
座間さんがまた規則正しい足音で近付いて来る。
「奥間くんのことありがとうございます。宜しければまた御来店くださいませ。」
「ありがとうございます。ご飯も紅茶もとっても美味しかったので是非また。」
座間さんは微笑んでコートを渡してくれた。
彼じゃなくて彼女です 紫水蜜未 @momomono
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