彼じゃなくて彼女です

紫水蜜未

第1話

繋いでる右手を不意に強く引っ張られて、キスをされる。


「ちょっと…、誰かに見られたらどうするのよ」

「大丈夫、暗いし人通りも少ないし」


そう言って彼女はいたずらっ子の顔をして舌をぺろっと出しておどける。

2人の吐く息が混ざりあって夜空に消えていく。

新しい年の始まり。仕事終わりのいつもの道。

わたし達の身長差はだいたい20cmくらいだ。

嬉しそうに歩く彼女の横顔を見上げて、綺麗だなぁと感じる。


出会ってもうすぐ3年が経つのね。

こうして変わらず隣に居られることにしあわせを噛み締めながら、帰路に着く。

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