概要
RingNeは体験小説です。この物語は現実世界でフェスティバルとして体験することができます。
詳細はこちら ringne-festival.com
-あらすじ-
人は死後、植物に輪廻することが量子化学により解き明かされた。この時代、人と植物の関係は一変した。 植物の量子シーケンスデバイス「RingNe」の開発者、春は青年期に母親を亡くし、不思議な夢に導かれてRingNeを開発した。植物主義とも言える世界の是非に葛藤しながら、新たな技術開発を進める。幼少期に病床で春と出会った青年、渦位は所属するDAOでフェスティバルを作りながら、突如ツユクサになって発見された妻の死の謎を追う。森林葬管理センターの職員、葵は管理する森林で発生した大火災に追われ、ある決断をする。 巡り合うはずのな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!社会課題を解決したいと切に願う作者の発想と勇気に最高の賛辞を!
人が「社会課題を解決したい」と願う時、初動をとる人とフォローする人に分かれる。そのフリンジは愛すべき曖昧さでそこに居続けるが、作者は文字通り初動を踏み切った人、それもかなり特異的アウトプットで。多くの学者やアクティビストが地球沸騰時代のあらゆるエビデンスを盾にとった言論と世界に向けた「NO」ではなく、バックキャスティング的なSF作品として。
何よりも興味深いのはDAOを組織し、2023年10月8日滝フェスをシンクロさせたことだ。僕と妻は、開催場所の南足柄市にほど近い御殿場市へ40年間の東京生活を終えた後、移住した。地域の循環型活動の解像度を上げる週末を送る一環で、偶然なのか必然なのか?僕は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!予想を上回る面白さと奥行き
なんだこれは。
読了後、一週間ほどRingNeショックを喰らっていた。
『人が植物に輪廻する世界で、終わり方を探す物語』との前触れから、つつましやかなファンタジーを予想して読み始めたが、見事に裏切られた。
想定より純粋でダイナミックで破壊力のある物語だった。
そもそもなにかがおかしい世界において、純粋さほど狂気的なものはない。
繊細な鉛筆書きのような口調で淡々と語られる言葉たちは、
非日常から巧妙に日常に侵食し、「今のわたし」に問いを突き付けてくる。
作者の体験作家としての手腕が発揮されていて見事。
そして、仏教や量子論・植物にまつわるエピソードを背景に、
時代は容赦なく巡ってゆき、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!綺麗な文体と断片的な記憶が交差して見えてくる世界はどんな景色だろう
景色や綺麗な文体、サラサラと読み進める事ができそうな気がするのと裏腹に、なかなか先を読む事ができず、随分と日数をかけて読みました。
ビジネス書を読む事や現実生活の中で過ごす時間が圧倒的に増え、物語の世界へ入り込むのは久しぶりの事でした。物語と言っても、少し不思議なSF。「ありそうな未来」のお話です。読みながら、様々な情景や断片的な記憶が交差してゆきました。
好きな人はできれば温かみを感じられる位の距離に居て欲しい。
大切な人と双方の想いを受け取れる位の関係性でありたい。
目の前からスッと姿を消してしまうというのは、これからもずっと一緒に居てくれると思っていた日常や未来を一緒に育む事が…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「死んだら植物になる」世界であなたは何を想う?
瞬く間に物語の世界観に夢中で入り込み、一気に読了しました。
森という生態系が、全てが繋がり合いながらもそれぞれ独自の生態系を営んでいるように、RingNeの登場人物それぞれの視点から見える世界も、つながり合いながらもつれあい、世界に対して各々決断をし、時には抗いながらも、納得の行く終結に向けて真摯に生を営んでいる姿には心を打たれるものがあります。
と同時に、一体、必ず終わりがある生を生きている私たちにとって「持続可能な社会」とは何なのか、過剰なまでに世界が最適化され尽くした先に私たちの幸福はどこまで約束されているのか、といった問いが取り留めもなく湧いてくるようで、なかなか一筋縄には読み解…続きを読む