第8話 聖歌隊って歌が上手いらしいよ。
――教会内部――
クルスとショウタは熟女シスターについていき教会の中に入って行く。
よくある教会といった内装だ。
大教会というだけあってかなり広い。
左右に礼拝用の椅子が置いてある。
太陽の光が聖書台に差し込む様に設計されているのか、何とも神々しい。
アー♪アー♪アー♪
教会の中ではクワイヤと呼ばれる場所で聖歌隊の子供達が歌っている。
シスターが聖歌隊の前で立ち止まった。
「どう?キレイな歌声でしょ?」
熟女シスターは子供達を見て優しく微笑む。
「はい。すごい上手ですね……なんというか心が洗われるというか、幸せな気持ちになれます……」
ショウタは歌声に感動していた。
「でしょ?みんな頑張って練習したのよ。今度街のお祭りで披露する予定なの」
嬉しそうに語る熟女シスター。
すると……
「へぇ…………それはそうとシスターよ。この教会にシスターセーラとやらはいるか?」
クルスは熟女シスターに尋ねた。
聖歌隊の話しなど全く興味が無さそうだ。
鼻をほじっている。ピンッ………………
もう何も言うまい…………
クルスには感情というモノが無いらしい。
すると……
「私はイザベルよ。シスターセーラ?いるわよ。今は……ちょうどお買い物に行っている頃かしら。セーラがどうかしたの?」
不思議そうに尋ねるイザベル。
「いや……それならいいんじゃ…………あのな!このクソ兄貴がシスターセーラに一目惚れしたらしくてな………………」
チラッとショウタを見るクルス。
話しを合わせろ!とばかりにショウタにアイコンタクトを送っている。
「え??え?いや……お……おいッ!ナンデバラスンダヨ!!」
咄嗟に状況を理解したショウタはクルスの会話に合わせてぎこちなく答えた。
「え?……あらまぁ!!そういう事だったの!青春ね。おばさん応援するわよ!!そうだ!せっかく来たんだからセーラが帰ってくるまで教会の中を案内してあげるわ!」
シスターイザベルもノリノリだ。いくつになっても人の恋とは楽しいものらしい。
――その後、クルスとショウタはシスターイザベルに案内されて教会の中を見て回った。
「イザベルよ!この教会は貧乏なのか?」
クルスが急にイザベルに尋ねた。
「は?……オイ。失礼だろ!」
ショウタはクルスを注意した。
「は?なんか言ったか?」
クルスがショウタを睨んでいる。口の利き方が気に食わなかった様だ。怖い…………
すると……
イザベルが……
「こらこら~ケンカは良くないわよ。貧乏かって質問だったわよね?そうねー貧乏よー。教会は寄附金に頼るしかないからね……大変よ。みんなご飯はたくさん食べるし……」
イザベルは少し不安そうな何ともいえない表情だ。
「ヘェ~大変じゃのぅ……シスターは何人ぐらいいるんじゃ?」
「シスター?そうねー。私とセーラ以外にも3人いるわよ」
「そうか……全員で5人とはやる事が多くて大変じゃのぅ。セーラは経理担当なのか?」
ぐいぐい質問するクルス。
「セーラ?セーラは食事担当よ。どうして?」
あまりにも関係の無い質問ばかりする為、少し不審がるイザベル。
「……いやー何となくじゃ」
とぼけるクルス。何故かニヤニヤしている。
なーにが何となくだよ。どう考えても怪しいだろ!
一通り教会内部を見せてもらった後、一行は礼拝堂に向かった。
どうやらクルスの興味はシスターセーラのみの様だ。
だが、どういう事だろうか。まだ返済日は来ていない筈だ。早すぎる。
「クルスさん……クルスさん……そろそろどういう事か教えて下さいよ!」
ショウタはクルスに小声で尋ねた。
「……うーん。それはな~…………」
クルスが何か言いかけた瞬間……
シスターイザベルが「あっ噂をすれば」と入口付近を指差して言った。
「シスターセーラよ!帰ってきたみたい。シスターセーラおかえりなさい」
イザベルがセーラを呼ぶ。
「あら……シスターイザベル。こちらの方達はどなたですの?」
「え?……………………」
ショウタはシスターセーラを見て驚いた。
そこにいた人物とは………………
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