第18話 絶対絶命のピンチ!!
※前回のお話し※
別室で眠っていた筈のアンナがイザベルにより連れ去られてしまった。
『急いだ方が良い』と言うクルス。
ショウタが何故か尋ねると『バンパイアは気に入った女性の血を死ねまで吸い尽くす』と言う。
焦るショウタ。スキル「千里眼」を使い、急いでアンナを見つけようとする。
スキルによりアンナは無事見つかったがイザベルに逆探知魔法を使われ激しい頭痛に襲われるショウタ。
セーラの回復魔法により激しい頭痛を癒してもらうショウタ。
アンナは西の森にある廃城にいる事がわかった。イザベルも……
……そしてクルスとショウタはアンナを救出すべく、イザベルが待つ廃城へと向かったのであった。
――西の森 廃城――
バサバサバサ……………………
大量のコウモリが廃城の周りを飛び回っている。
ただでさえ薄暗い森が無数のコウモリで暗闇に包まれていく………………
「………………クルスさん…………めっちゃ怖いんですけど……」
ショウタは震えながら言った。ショウタとクルスの二人は廃城付近の森を歩いている。
「うるさいわッ!!情け無い!!シャキッとせんかシャキッと!!!ここに来る前の威勢はどうした?!」
クルスは頼りないショウタを叱る。
「……そんな事言ったって………………怖いもんは怖いんですよ……しかもバンパイアなんて…………よくよく考えたら何で俺バンパイアと戦わなきゃいけないんですか…………あぁ……やだ……もう帰りたい」
ショウタは廃城に着く前に戦意喪失だ。
「………………はぁ」
呆れて頭を抱えるクルス。
「クルスさん…………もうすぐ着きます……あ………あれか?………………」
ショウタは廃城を見つけた。廃城は想像以上にボロボロだった。長い年月をかけて風化したのだろう。外壁は所々剥がれ落ち、ツタが張り巡らされ、地面には無数のレンガが落ちている。
その城だった何かは、ショウタ達を待ち構えたかの様にどっしりと建っていた。
外壁の隙間から見える内部は真っ暗で吸い込まれそうなぐらい深い漆黒だった。
ザッ!
クルスが城の前で仁王立ちし、腰に手を当てる。
「オイッ!!カス!アンナとイザベルは城のどこにいる?」
クルスはショウタに尋ねる。その顔はニヤっと笑っている。その表情からは「緊張感」というものは感じられなかった。ワクワクしている子供の顔だ。
「…………あっ……はい…………えっと……アンナさんとイザベルは…………玉座?……玉座がある部屋にいます。2階の奥です」
ショウタは念じるとアンナとイザベルの位置を割り出した。今回は逆探知されずに済んだらしい。
「よっしゃ!死にたくなかったら隠れてろ!!ワシがちゃちゃっと終わらせてくる!ワッハッハ!!」
クルスは高らかに笑う。
「……………………」
大丈夫かよ……。心配だ。
――廃城 玉座の間――
一面に敷き詰められた絨毯は、所々剥がれ、切り裂かれているような跡が見える。
ボロボロの赤いカーテンが風で靡く。
見たことないエンブレムが施されたタペストリ。これもまたボロボロだ。
入口付近には、鎧が立っている。今にも動き出しそうだ。
左右の壁にかけられた松明は青白い炎を纏いゴウゴウと燃えている。
「…………うぅ」
アンナだ。縛られて横になっている。口も縛られている為、何も喋る事が出来ない状態だ。アンナは逃げようと必死に入口を目指してモゾモゾと動いている。
「…………あらあら……可愛いわね……イモムシみたいに這いつくばっちゃって……」
イザベルは、ワイングラスを片手に玉座に肘をつき足を組んでアンナを見下すように見ている。
ワイングラスの中の液体は、濃い赤色をしている。まるで血液のようだ………………
ゴク……
イザベルがワイングラスの赤い液体を飲み干した。
「…………あー……美味しいわ…………あなた……やっぱり、邪念を多く含んだ美女の血は絶品だわ。若返る…………」
イザベルは、うっとりしている。
「それに引き換えシスターセーラ!!ブスのくせに微塵も邪念が無いんだから!あんな不味い血初めてよ……おかげで面倒な茶番まで仕組んであのブス辞めさせなきゃいけなくなったんだから…………全く……困ったもんだわ……せっかくシスターに成りすまして潜入してたのに………」
イザベルは、アンナをエサとしか見ていない為、一人でペラペラと愚痴を話し始めた。
ゴク……ゴク…………ゴク………………
「プハ…………上手いわ…………本当美味しい…………ゆっくり堪能しようと思ったけど、もう我慢出来ないわ……全部飲み干しちゃいましょ…………」
イザベルはアンナを見た。目が人間の眼には見えない。獣の眼をしている。
ジリジリとアンナに歩み寄るイザベル。
明らかにこの状況を楽しんでいる………………
「んーーーーッ!!んーーッ!!」
アンナは血を吸われまいと必死に抵抗し逃げる。しかし自分は身動きが取れず、口を塞がれ声も出ない。
イザベルはアンナの目の前までやってきた……
「さぁ………………」
イザベルが鋭い爪を掲げた次の瞬間………………
バタンッ!!!
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