第22話 ギルドへ行って情報収集


――ギルド――

カツ……カツ……カツ……

床板と靴が当たる音がする。


受付へと歩くクルスとショウタの二人。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


受付のお姉さんがニッコリ笑って出迎えた。


「オイッ!!シンノスケという冒険者が受けたクエストどれか分かるか?」


受付のテーブルによじ登り、早口で聞くクルス。


いきなりオイッ!は無いだろ‥‥


「申し訳ございません……個人情報の為、第三者の方には、クエスト内容を教える事は出来ません。」

深々と頭を下げ、クルスの要望を丁寧に断る女性。

大人だ。クールビューティ。こんな生意気な子供にも敬語で丁寧に対応するなんて……

プロって感じだなぁ。うんうん……

ショウタは女性の対応に感心していた。


「あー!!もうめんどくさいのぅ!ほら!!これで教えてくれ!!」


痺れを切らしたクルスはおもむろに、金貨を受付の机の上に置いた。


ゴトッ!


いやいや……………………何やってんのさ。クルスさん。こんなあからさまなワイロで情報教えてくれる訳ないじゃん。

プロの仕事人を、からかっちゃダメだよ。

クールビューティーは華麗に遇らう筈さ。

ほら……見てみなよ。冷静な………………


………………シャ!!

突如、金貨が消えた。


あれ?…………


受付の女性の手には、しっかり金貨が握り締められていた。何という早業。盗賊スキルでもあるのだろうか?


女性は話し始めた。


「シンノスケ様率いるパーティ漆黒……プッ……失礼……漆黒の翼は、ここより西の『エダニアダンジョン』へ向かいました。クエストランクはB。報酬は金貨50枚。クエスト内容は『ダンジョン最奥のコカトリスを撃破せよ』です。シンノスケ様一行は3時間ほど前にここを出て行かれました」

受付の女性が淡々と話し出した。


「エッ!?」


教えてくれるんかいーー!!お姉さん意志弱い!


しかもめちゃくちゃ細かく教えてくれたぞ!

個人情報なんちゃら違反じゃないの?

コンプライアンス!!!法令遵守!!

さっきまでアンタを尊敬していた俺の気持ちを返せーーーッ!!


しかし……金貨ってすごいな。

お姉さん金貨見てニヤケちゃってるよ。

金の力、エグし………………


それにしても『漆黒の翼』って言うパーティー名。

めちゃくちゃダサいな………………

お姉さん堪らず拭いちゃって中々言えてなかったし……。


何はともあれ正確な場所がわかったぞ。

っていうか、やっぱりエダニアダンジョンじゃん!

合ってんじゃん!

何が「間違ってたら面倒くさいからのぉ~」だよ!クソがッ!!


チラッとクルスを見た。


「ん?何か言ったかカス?生意気な口叩くとコロスからな!!」

ショウタを睨むクルス。



「い……いえ………………いや……はい……(ヤバッ!心の声聞こえてた?ウソでしょ?こわッ)」



「ありがとなー!姉ちゃん。よし!これで場所が分かった。それじゃエダニアダンジョンに行くぞ!カス!!」

クルスは受付の女性にお礼を言いギルドを出ようとした。


「あ!はい!」



チラッと受付のお姉さんを見たら、

去り際もずっと金貨を見てニヤケていた。


今後あの人を買収するには金を渡せば良いんだな…………


クルスとショウタはギルドを出ようとした。


すると、



「ちょい待ち!嬢ちゃん達!まさかこれからエダニアダンジョンに向かうんじゃねーだろーな?」

急に、知らないおじさんが二人を引き留めた。


なんだ?このゲームのイベントみたいな不自然な声のかけ方。


「なんじゃ?それな何か問題あるのか?」

クルスさんが答えた。


「大アリだよ!!全く……今日は次から次へと…………悪いことは言わねぇ。やめておけ!!あのクエストはな!!ボスがとんでもねーバケモンなんだよ!前に、俺の知り合いが挑戦したが、失敗して命辛辛逃げて来たんだ。後でソイツに何があったか聞いたら震えながら『蛇と鳥が合体した羽が生えているバケモンにやられた!!』って言ってた。その知り合いは、何とか助かったがパーティは全滅しちまったらしい…………しかもソイツそれがトラウマになって冒険者辞めちまったよ……。さっき出て行ったにいちゃん達にも同じ事話したんだけどよ!『大丈夫!大丈夫!』って言って行っちまったんだ。悪いことは言わねぇ。お前さん達はやめておけ!死んじまったらおしまいだぞ!」


心配してくれている様だ。

真剣な面持ちで話すおじさん。


「ひぇ………………なんか……怖くなってきた…………」

身震いするショウタ。

ん?でもそれってコカトリスでしょ?依頼通りじゃん。

さっきお姉さん言ってたじゃん。


「……………………」

黙り込むクルス。


「?クルスさん?どうしました?」


「ん?なんでもないわ!!まぁ‥‥情報ありがとな!」

クルスは、すぐにお礼を言った。

何とも煮え切らない感じだ。スッキリしない。


二人はギルドを後にした。


二人が去った後……


「全く……………………近頃の若いやつは……」

おじさんは呆れながら、ぬるいエールを一気に飲み干した。



二人は一旦、事務所へ寄り、ショウタの装備を整えてからダンジョンへと向かう事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最弱スキル持ちと最強幼女の金融屋さん 冬来ノース @no11face

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ