第12話 ムダムダムダムダムダムダ!!!!おいおい。大丈夫か?これ。

――聖フランシス大教会の外――

場面はショウタがスキルを使い、偽セーラ(アンナ)を見つけるシーンに戻る。


「見つけました!!クルスさん!!ここから東に10キロ行ったところにある村です!!!そこにいますッッ!!!!!」

ショウタがクルスに向かって大声で叫ぶ。


バコンッ!!

クルスがショウタの頭を思いっきり殴る。


「うるせーーー!!バカ!聞こえてるっての!!」

クルスは耳を押さえてキレている。


「…………イタイ!!ヒドイ!!何するんですか?パワハラですか?いや……もうハラいらない。もはや単純なパワーです。暴力です。全く……時代錯誤も甚だしいですね」

ショウタは冗談が言えるぐらいは元気みたいだ。


「……は?キモ」

クルスは、ゴミでも見るかの様な目でショウタを見た。


「あ……………………いや……その……すみません……」


冷たい視線に耐えきれず、すぐに謝った。


「さぁ、ふざけてないで回収にいくぞ!!カス!」

クルスは東へ歩き出した。


「カスじゃありません。ショウタです。」

ショウタは冷静に訂正した。


歩き出してすぐ……クルスが立ち止まる。


「…………で?東ってどっちだ?」

クルスが尋ねる……


「………………ベタですね」


「……………………」

その後二人はギルドで地図を借りて目的地へと向かった。



――東の辺境の村――


「…………ちょっと……クルスさん……速すぎますよ………………ゼェ……ゼェ……」

10キロも歩いたのだ。ショウタは疲労困憊であった。


「情け無いのぅ~それでも男か?」

クルスは村の前の岩に座りまったり優雅に紅茶か何かを飲んでいる。

それを見たショウタはすぐ反応した。


「エッ……なんですか?それ?自分だけ?ズルい」

何一人だけまったりしてるんだよ……おれにもくれよ。ショウタは目で訴えた。


「は?カスにやる飲み物は一滴も無いわ。サボってないでさっさと偽物セーラを探せ。ダラダラしてたら日が暮れてしまうぞ」

クルスは、ショウタに早く探す様促した。


「はいはい………………ったく……鬼かよ………………クソがッ……」

ショウタはクルスに聞こえないぐらいの小さな声で小言を吐いた。


「ん?なんじゃ?死にたいのか?」

クルスは、どこから持ってきたのか分からない巨大な棍棒を肩にかけてショウタを睨み威圧してきた。


「い…………いえ…………何でもありません……」

何で聞こえてんだよ!!

殺されるのだけは勘弁だ。

大人しく探そう。

ショウタは偽物セーラを探す為、再度スキルを使った。


ショウタは目を瞑って念じ始めた。頭の中に対象者の場所がイメージ化される。


ん?…………近いぞ。

馬小屋か?一人みたいだ。


「クルスさん。こっちみたいです」

ショウタはイメージされた場所へと向かう。


クルスはショウタの後ろをのんびり歩いている。


ショウタが馬小屋に着いた。

「……うん……ここだ…………ここにいる筈なんだけどな………………あの~!すみません。ごめんください~」


馬小屋に向かって叫ぶショウタ。

クルスは後ろでペロペロキャンディーを舐めてその様子を見ている。


……すると


「……なんだよ!!うっさいなーー!!誰だよ?!………………あ」

偽物セーラことアンナが出てきた。アンナはすぐクルスの存在に気付いた。


クルスがアンナの元へダッシュした。

「やっほー!!シスターセーラ!!ワシじゃよ~。ワシ~、プリティファイナンスのクルスじゃ。プリティ、プリティ。あれれ~~??今日は教会は休みか?」

クルスは急に元気いっぱいの少女になり、わざと嫌味な質問をした。


「えっ……いや……その……」

突然のクルスの訪問に焦るアンナ。


「ん?どうしたんじゃ?そんな緊張しなくても大丈夫じゃよ。お主がシスターセーラじゃなくてもワシには関係ないからのぅ」

クルスはニヤっと笑う。この状況を楽しんでいる様にも見える。


「エッ!!…………なんで??」

アンナはシスターセーラじゃ無い事がバレて驚いている。


「最初から偽物だって分かって貸したんじゃよ~~。まぁ動機は不明じゃが、お前さんがちゃんと返してくれるんじゃよな?」

クルスは圧をかけてくる。


……すると、しばらく間が空いた後………………


「………………フンッ…………知らないわよ。もうお金は無いわ。それに借りたのはシスターセーラで私じゃないわ。勘違いじゃない?お嬢ちゃん?」

アンナは急に強気な態度に出た。相手が弱そうな子供だからだろう。完全に舐めている。


あちゃー…………

この人大丈夫か…………

横で見ていたショウタは少し心配だった。


すると…………


「おー!いい根性しとるな偽セーラ。返さないつもりか?」

クルスはニヤニヤしている。笑っているのが逆に怖い。


「……そうよ……無いものは無いの。無いお金をどうやって返すのよ。どうぞ。好きにすれば?」

アンナは完全に開き直っている。


グゴゴゴゴゴ…………


辺りが暗くなった……


え?なに?

クルスさん……何かする気だな…………

最早この人は未知数だ……


すると……


ドゴーーーーンッ!!!!


突然、辺りが暗くなりアンナの目の前に稲妻が落ちた!


「キャーーー!!えっ?えっ?…………何?」

アンナは尻もちをついて驚いている。

アンナが座っている地面は水たまりが出来ている。


あーあー………………



「return?not return?」


え?英語?合ってるそれ?なんか逆にダサくない?

クルスの指先は稲妻だろうか?バチバチ音が鳴っている。


ドヤ顔をしているクルス。

明らかに「決まったー!」という顔をしている。


ここでダサいと指摘したら、俺にまで稲妻を落とされかねない。大人しく見ておこう。とショウタは思った。


何を言っているか分からないが、ヤバい事だけは理解したアンナ。


必死に逃げ様とする。



「ムダムダムダムダムダムダムダ!!!」

ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!


おいおい……大丈夫か?そのセリフ……

完全に某少年誌のあのキャラのセリフじゃないか。

怒られても知らないぞ。


クルスは逃げるアンナ目掛けて稲妻の連続攻撃を繰り出す。全てギリギリ外れている。

わざとなのか、下手なのかは分からない。


「………………す……ずびばぜん」

アンナは鼻水、涙を垂れ流したぐちゃぐちゃの顔でクルスに謝る。


いやいや…………やり過ぎだろ……これ……

現代なら脅迫で一発アウトだよ……

ショウタはアンナに同情した。


アンナの謝罪を聞いたクルスは、静かに話し始めた。

「偽セーラよ…………ワシはな……お前さんに謝って欲しいんじゃない。返せるか返せないかを教えて欲しいだけなんじゃ」

クルスは、フッと笑った。


……最初からそう言えよ。

何だよ、return?not return?って……分かりづらい。

しかも最後のフッ……って何だよ。いちいち酔ってんじゃねーよ。


「…………あ……ハイ。返します!返します!でも……わたし本当に今お金無いんです!」

必死に訴えるアンナ。


ん?なんで?

借りたの昨日でしょ?金貨200枚は流石に一日で使える額じゃないでしょ?

ショウタは、それを聞いて疑問だった。


「……ん?なんでじゃ?」

クルスも同じ質問をした。


「………………実は………………」

アンナは、金が無い理由を語ってくれた。







一方………………


――聖フランシス大教会――


暗い地下室に一つだけ明かりが灯った部屋がある。

明かりが部屋の外に漏れている。


何やら音がする。


カチャ‥‥‥カチャ‥‥‥カチャ‥‥



「あー……上手くいった…………これで………………」

部屋の中では、黒いローブを着た人物が、大量の金貨を数えていた。



この人物は一体誰だろうか。

何故大量の金貨を数えているのだろうか?


物語は真相に向けて一気に加速する?かもしれない

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