煌びやかな闇のある処

 この物語の舞台となっている平安時代に、私はひとこと紹介の様なイメージを持っています。

 今のように照明がある訳でないのだから、決して明るい夜はなかったでしょうし、また決して平和な時代ではないのですが、この言葉に共感していただける人には、間違いなくお勧めできる物語です。

 歴史の知識がある場合、呼び名や記述、また風俗や習慣、思想についてに違和感を覚える事もあるかとは思いますが、それに対し、この煌びやかな時代を舞台にしているロマンが「無粋」という言葉で不満を阻んでくれます。

 ベースとなっている日本の神話、古典に対する純粋な憧れをラッピングにして、現代の感覚をリボンにしてかけたような印象があります。

 ただラッピングして、リボンをかけた物語の中身は、キラキラした恋愛モノではなく、伝奇という言葉でイメージできる要素が詰め込まれた物語です。

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